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文章の書き方の名言
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901.
「情報」を持つ文章もいまは花形である。
（中略）情報の文字だけあって、その人が文章のなかにいないことが多い。
（ 荒川洋治 ）
902.
ことばだって所詮は一つのかくれ家ではないのかね？
（ 寺山修司 ）
903.
じぶんを呼びとめる小さな声が、どこからか聞こえて、しばらくその声に耳を澄ますということが、いつのころからか頻繁に生じるようになった。
（中略）そうした、いわば沈黙の声に聴き入るということが、ごくふだんのことのようになるにつれて、物言わぬものらの声を言葉にして記しておくということが、いつかわたしにとって詩を書くことにほかならなくなっているということに気づいた。
（ 長田弘 ）
904.
誰も傷つけないものを書こうとして凡庸な作品を生み出してしまう、私はそれを最も恐れる。
表現者とは、自身の中のゴミや泥や宝石や、それらを吐き出さずにはいられない心の持ち主のことを言うんじゃないかな。
（ 及川眠子 ）
905.
物書きは、内証のことはとにかく、外面は「誠実」が第一、そして取りこぼしをせぬのが第二に大事。
「なんだあいつは。
　ひょっとしたら馬鹿か」などといわれたくありません。
せっかくこれまで、それだけは、と隠し通してきた苦心がすっかり水の泡になってしまうではありませんか。
（ 井上ひさし ）
906.
考えることが快楽でない人は
精神の字にかならず（こころ）とルビを振る。
（ 長田弘 ）
907.
会社員生活をしているから社会がみえたり、心境が広くなるわけではなく、却(かえ)って月給日と上役の顔以外にはなんにもみえません。
（ 太宰治 ）
908.
太宰の文章だったら、どれでもよろしい。
彼が格好よくきめたら、そのあとに「なあんちゃって」を付けてみてください、奇妙によく付きます。
そしてうんとおかしくなる。
たぶん彼も、そうやって読む者を歓迎するはずです。
（ 井上ひさし ）
909.
あの人たちには、作者なんて、てんで有り難(がた)くないんだ。
一茶が作っても、かっぽれが作っても、マア坊が作っても、その句が面白(おもしろ)くなけりゃ、無関心なのだ。
（ 太宰治 ）
910.
詩は経験である。
それはたとえば煙草(たばこ)をのんだり、しゃべったり、金銭登録器をがちゃがちゃ鳴らしたり、頭にこってりとチックをぬったりするのと変わるところはない。
（ 寺山修司 ）
911.
うまく表現できないという言葉ほど、表現についてうまく語りえている言葉はない。
（ 長田弘 ）
912.
誰でも、なんでもいうことができる。だから、
何をいいえるか、ではない。
何をいいえないか、だ。
（ 長田弘 ）
913.
生きる事は、芸術でありません。
自然も、芸術でありません。
さらに極言すれば、小説も芸術でありません。
（ 太宰治 ）
914.
やはり小説というものは、頭で考えてばかりいたって判るものではない。
書いてみなければ。
（ 太宰治 ）
915.
詩は感情をあらわす言葉ではありません。
（ 長田弘 ）
916.
詩は一人のわたしの、世界の感じ方、読み方を、ちょうど碁石を碁盤に置くように、そこに置く言葉です。
そこというのは、相対するものの目前に、ということです。
（ 長田弘 ）
917.
惚れたが悪いか。
古来、世界中の文芸の哀話の主題は、一(ひとつ)にここにかかつていると言っても過言ではあるまい。
（ 太宰治 ）
918.
いちど、いやな恐るべき実体を見てしまった芸術家は、それに拠(よ)っていよいよ人生観察も深くなり、その作品も、所謂(いわゆる)、底光りして来るようにも思われますが、現実は、必ずしもそうでは無いらしく、かえって、怒りも、憧(あこが)れも、歓びも失い、どうでもいいという白痴の生きかたを選ぶものらしい。
（ 太宰治 ）
919.
文学は人間を知る営み。
（ 長田弘 ）
920.
ひとつの言葉、ひとつの文章が、十色くらいのちがった意味をもっておのれの胸へはねかえって来るようでは、ペンをへし折って捨てなければならぬ。
（ 太宰治 ）
921.
作者の仕事などは、しょせん、「書かれてしまった書物」から、自分のために残しておきたい部分を選び、あとは消しゴムで消し去ってゆく作業でしかないのかも知れないのである。
（ 寺山修司 ）
922.
文学とは、恋愛を書く事ではないのかしら。
（ 太宰治 ）
923.
よろこびを書こうとして、かなしみを発見する。
かなしみを書こうとして、よろこびを発見する。
詩とよばれるのは、書くということの、そのような反作用に、本質的にささえられていることばなのだと思う。
（ 長田弘 ）
924.
いまの世の人、やさしき一語に飢えて居る。
ことにも異性のやさしき一語に。
（ 太宰治 ）
925.
その作家の日常の生活が、そのまま作品にもあらわれて居ります。
ごまかそうたって、それは出来ません。
（ 太宰治 ）
926.
言葉の本質をなすものは、経験をくみあげて、新しい概念をつくりだす力。
（ 長田弘 ）
927.
１つのものは、１つのものだけでできているのでも、１つの意味だけでできているのでもありません。
いろいろなもの、さまざまなもの、それぞれのものが、つながりあい、むすびあい、まざりあって、１つの物語をつくっています。
（ 長田弘 ）
928.
作家がいけないのである。
作家精神がいけないのである。
不幸が、そんなにこわかったら、作家をよすことである。
作家精神を捨てることである。
（ 太宰治 ）
929.
言葉について肝心なことはただ一つ、それが一人のわたしによってよく生きられた言葉かどうか、ということです。
（ 長田弘 ）
930.
素材は、空想を支えてくれるだけであります。
（ 太宰治 ）

931.
私自身は（外側の力に＝霊に）使役されてる感じで、喜びを与えられているから悪い気持ちはしないのですが、ホッとする間がない。
酷使される感じですからね。
（ 水木しげる ）
932.
「詩」もことばだと思ってはいるが、やっぱりことばではないのではないか、と思うことがある。
詩はことばに毒されてはいるけれども、素朴に言えば、イマジネーションの世界なのである。
（ 寺山修司 ）
933.
ずいぶん皆にわかってもらいたくて出来るだけ、ていねいに書いた筈である。
それでも、わからないならば、黙って引き下るばかりである。
（ 太宰治 ）
934.
傑作意識を捨てなければならぬ。
傑作意識というものは、かならず昔のお手本の幻影に迷わされているものである。
だからいつまで経っても、古いのである。
まるで、それこそ、筋書どおりじゃないか。
（ 太宰治 ）
935.
わたしがかんがえるのは、一人が一人に話しかける言葉、一人が一人に差しだす言葉としての、声になった言葉だ。
（ 長田弘 ）
936.
武術を怠り、精神に確固たる自信が無く、きょうは左あすは右、ふらりふらりと千鳥足の生活から、どんな文芸が生まれるか凡(およ)そわかり切っている事です。
（ 太宰治 ）
937.
「芸術的」陶酔(とうすい)をやめなければならぬ。
（ 太宰治 ）
938.
人間が好きで小説書きになった私にとっては人との出会いが、たとえそれが苦痛や悲哀を伴っても、生きている何よりの証として、有難いことに思われます。
（ 瀬戸内寂聴 ）
939.
すべて物ごとも言葉も、平(ひら)とう考えて、平とういいなはれ。
（ 田辺聖子 ）
940.
表現者の端くれとして言わせてもらうが。
誰も傷つけないものを書く自信は私にはない。
何が人を傷つけるのか、逆に何が人の気持ちを救うのか、個人の心はすべて違うからわからない。
少なくとも私たちは自分の身や心を削って物を生み出していて、これだ！
と信じたものを世に提示しているだけ。
（ 及川眠子 ）

941.
作家は、例外なしに実にくだらない人間なのだ。
（ 太宰治 ）
942.
自作を語るなんてことは、老大家になってからする事だ。
（ 太宰治 ）
943.
「……のように美しい」の「……」に何を入れるか、どんな言葉をそこに使うかで、一人一人の自分、一人一人の経験が、その言葉のなかにそっくり出てきます。
それが言葉です。
（ 長田弘 ）
944.
私は漫画を描くときに、半ば無意識になるわけです。
だから、何か外側の力に描かされているという感じが半分以上あるんです。
（ 水木しげる ）
945.
理解されるために、ことばを使うな。
理解するためにことばを使え。
（ 長田弘 ）
946.
言葉に害のない言葉はない。
言質(げんち)をあたえない言葉なんてない。
（ 長田弘 ）
947.
詩の言葉は、意味をあらわす言葉なのではない。
そうではなくて、いいあらわすことのできない意味をちゃんと手わたすための言葉が、詩の言葉だ。
詩の言葉がおかれるのは、いいあらわしえぬ意味がそこにある、その場所なのだ。
（ 長田弘 ）
948.
おもしろい物語には二つの特徴がある。
まず情報が精選されている。
次にその情報がよく整理され、効果的に配列されている。
（ 井上ひさし ）
949.
「傑作」を、せめて一つと、りきんでいるのは、あれは逃げ仕度をしている人です。
それを書いて、休みたい。
自殺する作家には、この傑作意識の犠牲者が多いようです。
（ 太宰治 ）
950.
本当の詩人というものは「幻を見る人」ではなくて「幻を作る人」である。
（ 寺山修司 ）

951.
あるとき目がひらけば
天から何か降り
地から何か湧いている
私はただそれを拾う
拾い屋さん
（ 榎本栄一 ）
952.
「何とかなので、こうだ」という「理屈を連れてくる」接続助詞というのは、下手に使うと苦労するだけです。
敬遠したほうがいい。
あんまり理屈をこねると、にっちもさっちもいかなくなりますので、使ってもいいのですが、使うときは要注意です。
（ 井上ひさし ）
953.
貝殻をひろうように、身をかがめて言葉をひろえ。
（ 長田弘 ）
954.
作文は読み手を想像しながら、文章の構成や書き出しを工夫して、読んでくれる人の興味関心を喚起しようとするものです。
そうした「他者意識」があってこそ、「伝わる」文章を書くことができるようになります。
（ 工藤勇一 ）
955.
書くためにすべてを一から発明する必要はない。
そもそも、一からとはどこからだろう。
はたして英語は自分で発明した言語だろうか。
実は、文章を書くときに使ってきたものは、ほとんどが盗んだものなのだ。
（ ジェラルド・ワインバーグ ）
956.
「物の見えたる光、いまだ心に消えざるうちにいひとむべし」と古人が教えた「物の光」は、まさに時と永遠とのこの不思議な交差点から発するに違いない。
その光芒を身に浴びて、自分が発光することは、実作者のこの上ない幸福です。
（ 大峯あきら ）
957.
ものを書くこころにかなひ古浴衣
（ 山口青邨 ）
958.
自分が感得した実感を（中略）矢も楯もたまらない、表現せんとする力がこみあげるまで、これを育てあげるのです。
（ 加藤楸邨 ）
959.
日常にどっぷりつかっていて、
ある時ある時に日常を超える一瞬を言い止めよう、その言い止め得た姿こそ、
私にとって真の現実たりうるのである。
（ 穴井太 ）
960.
心すなほなる時には稚(おさな)き言葉なほおぼつかなく、
言葉やや長(なが)けにしとおもへば心はすでに彈(はず)みなし。
（ 佐藤春夫 ）

961.
私たち普通の女性の職場ともいえるのは家庭であるし、仕事の中心は台所である。
そこからの取材（＝家庭を題材とする作風）がなぜいけないのか。
（ 中村汀女 ）
962.
かはせみの一句たちまち古びけり
（ 黒田杏子 ）
963.
馬は走る。
花は咲く。
人は書く。
自分自身になりたいが為に。
（ 夏目漱石 ）
964.
私の作品は書でも詩でもありません。
私は書という形式を借りて、人間としての本来的なありよう、ほんとうの姿を語っているだけです。
（ 相田みつを ）
965.
絵画とは無声の詩であり、詩とは有声の絵画である。
（ コールリッジ ）
966.
長すぎる詩は短い詩の書けない連中の考えたものだ。
長すぎる詩は全て一編の詩ではない。
（ ボードレール ）
967.
恋愛はただ性欲の詩的表現を受けたものである。
少なくとも詩的表現を受けない性欲は恋愛と呼ぶに値しない。
（ 芥川龍之介 ）
968.
私小説は自己の存在の根源を問うものである。
己の心に立ち迷う生への恐れを問うものである。
そうであるが故に、生への祈りなのである。
（ 車谷長吉 ）
969.
詩はもの言う絵、
絵はもの言わぬ詩。
（ シモニデス ）
970.
詩は悦ばしいものであるけれど、詩を求める人生は幸福ではない。
（ 萩原朔太郎 ）

971.
君は読み返されるようなものを書こうと苦心しているのか？
ならば、まず読まれるようなものを書くように心掛けたまえ。
（ ジュール・ルナール ）
972.
否定にはいつも、対照的な肯定が付き物である。
（ アリストテレス ）
973.
詩というものは、傑作であるか、さもなければ全然存在してはいけないものだ。
（ ゲーテ ）
974.
詩は音楽にならなかった言葉であり、音楽は言葉にならなかった詩である。
（ ヘルマン・ヘッセ ）
975.
好きなことを書きなさい。
それ以外の法則はありません。
（ オー・ヘンリー ）
976.
近頃の作家は、インクに水増しをして書いている。
（ ゲーテ ）
977.
全てのよい叙情詩には、理屈や言葉で説明することの出来ない一種の美感が伴う
（ 萩原朔太郎 ）
978.
詩は、怒りと、飢えと、落胆を道連れにしている。
（ クリストファー・モーリー ）
979.
私は六人の誠実な召使いを持っています。
私が知っていることは、みな彼らが教えてくれたのです。
彼らの名は「なぜ」「なにを」「いつ」「誰が」「どこで」そして「いかに」です。
（ キップリング ）
980.
書かれないことは、現に起こったことであっても、まだ事実ではない。
書くということは、考えることとイコールであるだけでなく、現実をつくり出すことでもあるのだ。
（ 作者不詳 ）

981.
人は、何かを簡単に言っているときに、いちばんウソをつきやすい。
人は、何かをむつかしく言っているときに、そのものごとから逃げていることが多い。
（ 糸井重里 ）
982.
証明のいる箴言は、表現の下手な箴言である。
（ ヴォーヴナルグ ）
983.
文章の極意は、過不足なし。
（ 里見とん ）
984.
小説というものは、迷っている人間が書いて、迷っている人間に読んでもらうものなのです。
（ 司馬遼太郎 ）
985.
損をするのは愚直な人物である。
口下手だし、文章も思い通りに書けない。
（ 陳舜臣 ）
986.
私のねらいは、見たことや感じたことをもっともうまく単純に書くことだ。
（ ヘミングウェイ ）
987.
血と格言を持って書くものは、読まれることを望まず、暗誦されることを欲する。
（ ニーチェ ）
988.
素晴らしい詩や美しい物語が、何の役に立つのかと尋ねることは、愚かなことだ。
例えば、カナリアの歌声や夕映えが生活に不可欠かどうかを、日常の言葉で立証しようとするようなものだ。
（ ボルヘス ）
989.
あなたの話、あなたのことば、あなたの考えでなければいけません。
（ 小泉八雲 ）
990.
これ（＝あったことをなかったと主張したり、なかったことをあったと主張したりすること）が許されるのは小説家や劇作家ぐらいなもので、もともと作り話を書くのが免許だから仕方がない。
（ 井上ひさし ）

991.
言葉は体験の肉であり、皮である。
（ 寺山修司 ）
992.
書く言葉、即ち見て読む言葉は、語る言葉とはその機能が本質的に異なると思う。
日本人が漢字を持ち、漢字かな交じり文という書く言葉、読む言葉、そして見る言葉を持っていたことは、民族の統一と文化の蓄積と伝承のうえで幸福なことだったと思う。
（ 吉田富三 ）
993.
過去の再創造のための想像力だけが歴史の運命にかかわることができる。
一切の幻影によって作詞された世界、その偶然性を組織する叙述力、ドラマツルギー……それらをして雄弁たらしめよ。
（ 寺山修司 ）
994.
接続詞は使いすぎてはいけません。
とくに「―が、―」には気をつけること。
たとえば、「今日は朝から雨だったが、私は元気に生きた」とか、全然つながりがないのに「が」をつけると全部つながっちゃうんですね。
（ 井上ひさし ）
995.
史(し)に三長あり。
（ 欧陽脩 ）
（ 『新唐書』 ）
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