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田辺聖子の名言
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1.
死後に仕事が残る人と残らない人。
「みんなが好きなものが好きな（時流に乗った）人よりも、自分の好きなもんでええ、と通した人が残るみたい。
2.
一人ぐらしなんて、人間の幸福の極致じゃないのか？
3.
何でもしたい放題したほうが、人生では長生きする。
4.
いくつになっても男は子ども。
5.
この世には人間は二種類ある。
酒を飲む人と飲まぬ人である。
6.
美しく老いるのはむつかしい。
やさしく老いるのはよりむつかしい。
可憐に老いるのは更にむつかしい。
7.
「愛想のよさ」はそのひとの生きる活力あらばこそ、のものである。
8.
芝居ごころは人生のなかでもっとも重要な才能のひとつである。
9.
不道徳で面白い人生と、道徳的でも面白くない人生なら、私は、前者のほうをとるかもしれない。
10.
男と女の仲というのは、
どちらかが無理にでも絆(きずな)を結ばないと、
しぜんにほどけてゆく、はかないものである。
11.
ココロとココロのむすびつきは食べることからはじまる。
12.
男と女の仲というものは、一寸先は闇である。
13.
男と女の仲は、半年付き合ってモノにならなかったらダメだ。
14.
食物を夫と妻が、男と女が、一緒に食べるということは、何かとても大きい意味がある気がする。
カロリーやたんぱくなどより、もっと大きな何かが、一緒に食べる食事の中にはある。
15.
無神経さも〈人生の達人〉の要素みたいである。
16.
一緒にいてたのしいという人間関係だけが、人生の生き甲斐(がい)やで。
17.
下卑(げび)ずに年とるって、むつかしい。
18.
結婚の意義、夫婦の自覚、そんなものは、なければ評論家がメシのタネに困るから、大切そうに掲(かか)げられてあるだけでは、要は、おたがい仲よく長生きする、これだけである。
それにはご機嫌をとりあい、甘やかし合う。
それだけなのだ。
19.
恋に味付けし、陰影を深め、たのしみを増やすのは芝居気なのである。
20.
人生というのは、成行まかせに抛(ほう)っておくと、しかめつら、泣きっつらばかりで埋まってしまいがちである。
だからちょいとしたこと、たとえばよく気のつく人がこっちの立場をおしはかり、ちょっとした動作で手を添え、心を添えてくれると、フト笑顔がこぼれたり、「ありがと」とか「あ、すみません」という言葉が出る。
その反対に、自分も（※同じことをすることで）、人のそれを受けとることもある。
21.
みんながそろって、（あ、あれはいいひとだ）とうなずくような人こそ、うさんくさい。
22.
オトナの男なり女なりが、
良識あり秩序と節度を保ち
調和のとれた人生を送ろうとしても、
そこへ土足でズカズカとはいりこみ、
傍若無人にかきみだすのは（※いつも）子供である。
23.
愛して、愛されて、楽しんで、そして命の終わるとき、棺の中へはいりながら、「アア、楽しかった！」といえるような人生を、私は送りたいと思っている。
24.
ええ女というのは、明敏にしてちゃらんぽらんなトコのある女。
25.
女は、やさしい男が好きなくせに、男がやさしいと見くびるものである。
26.
亭主や女房や。
と特別な仲みたいにいっても、所詮は、他人。
合わせモンは離れもん。
27.
ぜいたくは、みたされたとき、単なる物欲となってしまう。
28.
文明が進むほど、我々は不満不足だらけになる。
不平不満は、なお、文明を生む。
29.
人の青春というものは、いくつもスペアのあるものだ。
年とってみるとそのことがよくわかる。
30.
結婚の相棒というのは、気楽な存在であるのがいい。
気楽というのは、沈黙の責任をとらなくてもよいことである。
31.
子供は、大人に愛されるだけでは不十分である。
自分たちが世話をし、愛してやれるものを持たなければいけない。
32.
人生の事実は単に素材で、
そこから何かを作るのが人間の仕事である。
33.
後世に残るから一流
とは限らない。
一流だから後世に残る
とは限らない。
34.
二人で笑える仲って、男女の仲のナカでは二重マルくらいにいいトコをいくんじゃないかしら。
最低はモチロン、二人で泣く仲である。
35.
笑うこと。
毎日笑えるナニかをみつけるか、つくること。
36.
人は人によってのみ、傷つけられ殺される。
人の言葉。人の仕打ち。人の感情。
それだけが、人を生かしもし、殺しもするのである。
37.
ああ、人生のルールは、人が、それをたのしむためにあるのだ！
38.
ユーモアは戦争避ける素(もと)の素
39.
一緒に笑うことが恋のはじまりなら、弁解(いいわけ)は、恋の終わりの暗示である。
40.
率直なことは残酷なことである。
41.
世の中というものは皮肉で冷酷で、
人の意表をつくようにできている。
42.
女の欲しいのは、相性のいい相棒だけ、それも自分だけの相棒である。
43.
四十半ばにもなって阿呆で気品のない男は女房が悪い。
44.
やってみたら、またべつの力も出てくる。
人間は変わる。
倍々ゲームみたいに、変わった分の大きさでまた変わるから、度合いがだんだん大きゅうなっていく。
45.
男性たちの発言や発想は、女に関する部分から古くなる。
46.
ケンカしそうな男の子らがいて、横を通りかかった大人が
「ほらほら落とし物」と話しかける。
「何？」って探す。
見つからない。
そしたら大人が
「ゆとり。
　いっぱい落としてるで」って。
自分も怒りっぽいからわかるんやろうね。
47.
人、老いては口別嬪(べっぴん)になるべき。
年をとってもそばへ人が寄ってくれる。
48.
家庭が面白おかしいものであれば、崩壊するのも早いであろう。
平和と面白おかしいのとは、両立しない。
49.
すべて男と女の仲は、焦ったり、あきらめたり、してはだめですな。
熟れた木の実がひとりでに落ちるように、自然と落ちるところへ落ちなければ、どこかに無理が生じますよ。
50.
いまの文化は記憶力文化。
みな、死んだ数字や学説を、ようくおぼえて、それをトクトクとしゃべってるだけ。
51.
自分だけに興味を発動するのが〈手記〉で、周囲の人間に飽くなき関心と分析力をもつのが〈小説〉である。
52.
文体の確立しているのが小説、それのないのが手記である。
53.
平生(へいぜい)、（※その人に）やさしくしてる人は（※その人が死んでも）泣かへん。
54.
人生はトシ相応のタカラがゆく手ゆく手に埋められてある。
55.
現代においては最大の情熱は、「めんどくさい」という感情である。
56.
文化は食い物が無(の)うても出来るんや。
しかし文明は食い物が土台だ。
57.
同じモノを食べてる夫と妻は、和合しやすく、仲よしになりやすい。
58.
愛するということこそ、人生の主役であり、愛される、ってことは脇役にすぎないのかもしれない。
59.
親は、生きてるうちにはいつも敵じゃ。
死に際(ぎわ)が近づくとか、死んだあとは親になるでの。
60.
親子だからといって気が合うとは限らない。
気の合わぬ肉親は他人より始末がわるい。
血は水より薄い、というのが私の持論である。
61.
若い女の好悪(こうお)は、振幅が烈(はげ)しくて、いったんきらいだとなると、情け容赦(ようしゃ)もないのであった。
人間的な共感はふっとんでしまって、ただもう、生理的嫌悪(けんお)ばかりが先に立つ。
62.
おいしいものをさがす、つくる、食べる、ということはとってもたのしい人生の快楽である。
ついでに、それについてしゃべることも。
63.
噂というのは「あの人なら、さもありそうなことだ」と思わせる雰囲気をもっていれば成功で、その出来具合に感心するのも噂のたのしみである。
64.
（ものごとを）美しくするのも醜くするのも、すべて人間の気持ちのもちかた次第で、ものごとそれ自体は事実にすぎない。
65.
素直というのは、理屈をぶたないことである。
それはオトナの証拠である。
66.
社会が成熟すれば美意識は多様化する。
67.
上品、というのは、何でも初めて出くわす、というような、慣れぬ風情(ふぜい)で対応することである。
68.
生気があるから不倫ができるのか。
不倫ができるから生気は生じるのか。
69.
不倫は人生の香水である。
（中略）時々人生にふりかけてたのしむ。
無味無臭の人生でも、むろん生きるのに不都合はない。
でも、いい匂いが立つと、また気分が変わって心が引き立てられる。
しかしそれはいかにもぷんぷんと匂ってはいけない。
そこはかとなく、一瞬、匂い立つ、というものでなくてはならない。
70.
ウソをつく気もしなくなると、夫と妻はやっていけない。
本音をむきだしにして夫婦でいられるハズはなかろう。
71.
いまの男の政治家は、うわべをつくろうのだけは好きだが、マジメ・律儀という根本の必要な部分は脱落欠落しているのが多い。
（中略）政治こそ、女がやるに適した仕事であろう。
72.
白・黒をハッキリしたいのは女の本性なのだ。
女は本性、マジメ・律儀(りちぎ)なのだ。
それでいて、一方では、ナカナカ、率直・正直になれない。
うわべをつくろう、という傾向もある。
この相反した性質を一身にかねそなえているのが女で、これはいうならば、政治家になったら、いちばんいい素質かもしれない。
73.
「女は家庭経営が天職だ」という女は、自分が家の中に引っ込んでいたいからそれを正当づけているにすぎません。
74.
人生とは現在の時点で、誠実に生きていくほかは、ないのかもしれない。
75.
「ゴメンナサイ」と女がいうのは最後の時である。
76.
根性というのは人生のスパイスみたいなもので、ほんの少しあると人生をおいしくさせるが、そればかりドバッ、ということになると、すべての味を破壊してしまう。
77.
（※女にとって）男もすばらしいけれど、女のひとにも、何ともいえない慕(した)わしい人がいるものです。
生きることはそういう人にめぐりあうための旅でもある。
78.
愛もたべものと同じで、旬(しゅん)がある、
塩漬にすれば日保(も)ちはするだろうけれど、もはやたべごろ、というのは失われるのだった。
79.
女の満足感は幸福とイコールである。
80.
イモに交わればイモになる。
81.
ただの会話の返事も、手のこんでるのはイモ。
82.
スピーチや講演の上手(うま)すぎる人はイモ。
83.
面白い話というのは、体臭（＝人間臭さ）があればこそ、のものなのだ。
84.
女というものは、どんなに生活が苦しくても、境遇が複雑で苦労が多くても、夫と意思が通い合っていると、凌(しの)げるものだ。
85.
ウソをつく方が正直より（事実に）近いこともある。
86.
ギリギリ決着のところ、（※男は）甲斐性(かいしょう)よりも気立てさえよければ、女は生涯ついてゆく。
87.
だいたい女の色香は、（男の）金を巻き上げるためのようなものである。
88.
命の終わるとき、棺の中へはいりながら、（中略）生き残る人に、シッケイ！
と手をあげて、「楽しかったね」と握手して、またね、といえるような人生でありたいな、などと空想する。
89.
（※人生の）ラストのきわに、（ああ、面白かった……）といって笑えれば、極上の銘酒に酔うような人生であろう。
90.
人生作り笑い──（中略）生きる、ってことは、つまり、作り笑いする、ということにほかならない。
91.
おしゃべりの楽しい女、というのは、これは人間の宝石である。
92.
私たちが平常、人生で会う、
「美について一家言」ある人は、
その美に固執するあまり、
円滑な対人関係を持ちにくい人が多いものである。
93.
男の自尊心というのは風船玉のようなもので、ちょっと針先で突(つつ)けば、ぱーんと爆(は)ぜ割れそうになっている。
94.
不倫が夫婦より面白いのは、どちらもエエところばかりを見せ合うからである。
95.
家庭があまり変化すると家族はくつろげない。
いつも同じように、どっしりと包みこんでくれる、という安心感が、家族の帰宅の足をかるくする。
96.
家庭の幸福、などというものは、その家庭では芳香だが、外へ洩れると悪臭になる。
97.
男は小さい嘘をつくが、大きい嘘はつかない。
大きな嘘のときは、ただ沈黙あるのみだから。
98.
金銭だけで解決できる関係は、男女関係といわない。
それはビジネスで、商取引である。
オカネがぬきになるから、もつれるのが男女関係である。
99.
男も女も、たがいに異性の支えを力として、生きにくい世を生きる。
だから、男を大切にしてやらない女、女にいたわりと感謝を示してやらない男は、まだ異性とくらす資格はないコドモなのだ。
（中略）そういうことがわかっている女が、私は「いい女」だと思う。
100.
（※年寄りは）タガなんてはずしたほうがよろし。
七十になってまだタガをはめてるような人間は大した人間やない、
七十やからこそタガをはずしますのや。
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