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[ 名言 ]
文字の数がどんなに増えようが、
僕等は文字をいちいち辿(たど)り、
判断し、納得し、批評さえし乍(なが)ら、
書物の語るところに従って、
自力で心の一世界を再現する。
読書の技術が高級になるにつれて、
書物は、読者を、
そういうはっきり眼の覚めた世界に連れて行く。
逆にいい書物は、
いつもそういう技術を、
読者に眼覚めさせる。

[ 出典 ]
小林秀雄[こばやし・ひでお]
(文芸評論家、1902〜1983)
「読書について」
『小林秀雄全作品 第11集:ドストエフスキイの生活』(新潮社刊)に収載

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本・書物 》→ 今日
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小林秀雄 》→ 今日
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[ 全文・続き ]
〈原文全文〉
文字の数がどんなに増えようが、
僕等は文字をいちいち辿(たど)り、
判断し、納得し、批評さえし乍(なが)ら、
書物の語るところに従って、
自力で心の一世界を再現する。
このような精神作業の速力は、
印刷の速力などと何の関係もない。
読書の技術が高級になるにつれて、
書物は、読者を、
そういうはっきり眼の覚めた世界に連れて行く。
逆にいい書物は、
いつもそういう技術を、
読者に眼覚めさせるもので、
__ Link __

読者は、途中で度々立ち止まり、
自分がぼんやりしていないかどうか確かめねばならぬ。
いや、
もっと頭のはっきりした時に、もう一ぺん読め
と求められるだろう。
人々は、読書の楽しみとは、そんな堅苦しいものかと
訝(いぶか)るかも知れない。
だが、その種の書物だけを、
人間の智慧(ちえ)は、
古典として保存したのはどういうわけか。
はっきりと眼覚めて物事を考えるのが、
人間の最上の娯楽だからである。
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