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｜101−200｜
｜201−265｜
201.
秋風や生きのこりたる黒金魚
（ 川口重美 ）
（ Kawaguchi Shigemi ）
202.
箱河豚(はこふぐ)の鰭(ひれ)は東西南北に
（ 森田峠 ）
（ Morita Touge ）
203.
汲鮎(くみあゆ)や青山(せいざん)高く水長し
（ 黒柳召波 ）
（ Kuroyanagi Shouha ）
204.
透きとほりつつ落鮎となりゆけり
（ 石田郷子 ）
（ Ishida Kyouko ）
205.
皿の上うるめ鰯(いわし)の眼の並ぶ
（ 稲畑汀子 ）
（ Inahata Teiko ）
206.
けんらんと死相を帯びし金魚玉
（ 三橋鷹女 ）
（ Mitsuhashi Takajo ）
207.
冬めく夜鯉の輪切りの甘煮かな
（ 大野林火 ）
（ Oono Rinka ）
208.
真上なる鯉幟(こいのぼり)まづ誘ひけり
（ 中村汀女 ）
（ Nakamura Teijo ）
209.
飛魚(とびうお)のきらめきとべる朝日浪
（ 鈴鹿野風呂 ）
（ Suzuka Noburo ）
210.
薄氷(うすらひ)の裏を舐めては金魚沈む
（ 西東三鬼 ）
（ Saitou Sanki ）
211.
夢のまた夢に覺(さ)めけり櫻鯛
（ 石寒太 ）
（ Ishi Kanta ）
212.
鯉の背におたまじやくしの乗りそこね
（ 深見けん二 ）
（ Fukami Kenji ）
213.
大鯉を料(りょう)りて盆のならず者
（ 森澄雄 ）
（ Mori Sumio ）
214.
死神というのは、魚を網で捕らえて、しばらくの間水中に生かしておく漁師のようなものである。
なぜなら、魚はまだ水中で泳いではいるものの、網の中であることに変わりはなく、漁師は、もうそろそろ頃合いだと思ったら、何の容赦もなく網を引き寄せて、魚をとってしまうからである。
（ ツルゲーネフ ）
（ Turgenev ）
215.
うそは河豚汁(ふぐじる)である。
その場限りでたたりがなければこれほどうまいものはない。
しかしあたったが最後苦しい血も吐かねばならぬ。
（ 夏目漱石 ）
（ Natsume Souseki ）
216.
女の言葉をとらえるのは、
ウナギのしっぽをとらえるようなものだ。
（ ミゲル・デ・セルバンテス ）
（ Miguel de Cervantes ）
217.
男のいない女は、自転車のない魚のようなものだ。
（ グロリア・スタイネム ）
（ Gloria Steinem ）
218.
魚達は　夜
自分たちが
地球のそとに
流れでるのを感じる
（ 中江俊夫 ）
（ Nakae Toshio ）
219.
河豚(ふぐ)刺身何しんみりとさすものぞ
（ 中村汀女 ）
（ Nakamura Teijo ）
220.
点の目の白魚(しらうお)に任す旅愁かな
（ 秋元不死男 ）
（ Akimoto Fujio ）
221.
鰊(にしん)そばうまい分だけ我は死す
（ 永田耕衣 ）
（ Nagata Koui ）
222.
巌苔(いわごけ)をむしり遊ぶや瀞(とろ)の鮎(あゆ)
（ 原石鼎 ）
（ Hara Sekitei ）
223.
太刀魚の銀剥がれけり切られゐる
（ 徳永夏川女 ）
（ Tokunaga Kasenjo ）
224.
寒鯉(かんごい)を雲のごとくに食はず飼ふ
（ 森澄雄 ）
（ Mori Sumio ）
225.
添ひにけり秋刀魚きれいに食ふ人と
（ 結城あき ）
（ Yuuki Aki ）
226.
明(あけ)ぼのや白魚(しらうお)白きこと一寸(いっすん)
（ 松尾芭蕉 ）
（ Matsuo Bashou ）
227.
白魚(しらうお)は仮名ちるごとく煮えにけり
（ 阿波野青畝 ）
（ Awano Seiho ）
228.
白魚(しらうお)や生けるしるしの身を透かせ
（ 鈴木真砂女 ）
（ Suzuki Masajo ）
229.
この島の魚になりて泳ぎたし
（ 鈴木真砂女 ）
（ Suzuki Masajo ）
230.
自分の水たまりに棲むものが、
竜であるか、あるいはドジョウであるかミジンコであるか、
一生かかっても判らないことだ。
その判らないことの上に、
文学者の意識なり生活なりが成立する。
（ 梅崎春生 ）
（ Umezaki Haruo ）

231.
もし鳥や魚が人語を解し、
包丁を見て「痛いよ」とか「助けて下さい」とか叫んだら、
人間はそれに動かされるか、無視するか。
鳥や魚にその力を与えなかったのは
神の慈悲か悪意か。
（ 山田風太郎 ）
（ Yamada Fuutarou ）
232.
私は好きになりたいな、
何でもかんでもみいんな。
葱も、トマトも、おさかなも、
残らず好きになりたいな。
うちのおかずは、みいんな、
母さまがおつくりなつたもの。
（ 金子みすゞ ）
（ Kaneko Misuzu ）
233.
現代は、
冬の季節にも茄子(なす)や胡瓜(きゅうり)が食べられるし、
夏にも養殖による冬の魚介が膳にのぼる時代だから、
日本の四季と食べものの関係が、
人びとの心の内に居座らなくなってしまった。
（ 池波正太郎 ）
（ Ikenami Shoutarou ）
234.
目刺みなつらぬかれたるかなしき眼
（ 細谷源二 ）
（ Hosoya Genji ）
235.
秋風や酔ひざめに似し鯉の泡
（ 大木あまり ）
（ Ooki Amari ）
236.
ぼうぼうと燃ゆる目刺を消しとめし
（ 中村汀女 ）
（ Nakamura Teijo ）
237.
目刺にがし信じし人に破れし日
（ 森川暁水 ）
（ Morikawa Gyousuru ）
238.
刺にがし風邪に身ふるふなげきの日
（ 森川暁水 ）
（ Morikawa Gyousuru ）
239.
目刺にがしわがたよる師は病みたまひ
（ 森川暁水 ）
（ Morikawa Gyousuru ）
240.
焼諸子(やきもろこ)ことに頭の香ばしき
（ 長谷川櫂 ）
（ Hasegawa Kai ）

241.
踊らずに喉を越したる白魚(しらうお)も
（ 後藤比奈夫 ）
（ Gotou Hinao ）
242.
山近く暮らし秋刀魚を焦がしけり
（ ふけとしこ ）
（ Fuke Toshiko ）
243.
秋刀魚(さんま)焼く匂(におい)の底へ日は落ちぬ
（ 加藤楸邨 ）
（ Katou Shuuson ）
244.
魚(うお)たちに水重たけれ天の川
（ 池田澄子 ）
（ Ikeda Sumiko ）
245.
白魚汲みたくさんの目を汲みにけり
（ 後藤比奈夫 ）
（ Gotou Hinao ）
246.
初鰹(はつがつお)はるかな沖の縞を着て
（ 澁谷道 ）
（ Shibuya Michi ）
247.
まだまだと枯れぬ漢の(おとこ)河豚(ふぐ)の鍋
（ 本郷榮 ）
（ Hongou Sakae ）
248.
掬(すく)はれし金魚二三度撓(しな)ひたる
（ 深見けん二 ）
（ Fukami Kenji ）
249.
かたはらに玉杯(ぎょくはい)のある目刺かな
（ 深川正一郎 ）
（ Fukagawa Shouichirou ）
250.
緋鯉(ひごい)ゆく恋の勝者とならむため
（ 篠崎央子 ）
（ Shinozaki Hisako ）

251.
秋刀魚焼く憎しみは鋭き焔に焼かれ
（ 三橋鷹女 ）
（ Mitsuhashi Takajo ）
252.
指先より魚となりゆく踊(おどり)かな
（ 篠崎央子 ）
（ Shinozaki Hisako ）
253.
回遊魚は海の歯車十二月
（ 篠崎央子 ）
（ Shinozaki Hisako ）
254.
泊むるなる友に目刺の酒尽きず
（ 森川暁水 ）
（ Morikawa Gyousuru ）
255.
身請け待つごと朱を灯し冬の鯉
（ 篠崎央子 ）
（ Shinozaki Hisako ）
256.
焦したる目刺にめしのよごれけり
（ 森川暁水 ）
（ Morikawa Gyousuru ）
257.
みどり葉を敷いて楚々たり初鰹(はつがつお)
（ 三橋鷹女 ）
（ Mitsuhashi Takajo ）
258.
年の瀬や目付きの悪しき魚を提げ
（ 篠崎央子 ）
（ Shinozaki Hisako ）
259.
うろくづにゆふべがくるよひばりにも
（ 三橋鷹女 ）
（ Mitsuhashi Takajo ）
260.
幻をかたちにすれば白魚に
（ 岩淵喜代子 ）
（ Iwabuchi Kiyoko ）

261.
江戸の味覚は「三白」──
白米、豆腐、大根に集約されます。
他に鯛、白魚を加えて「五白」と数えてもかまわないのですが、
共通するのは、
どれも淡白で、デリケートな味わいだということです。
（ 杉浦日向子 ）
（ Sugiura Hinako ）
262.
人間にとって旨い魚は不幸ですよね。
まずい魚は数が減るということはありませんから。
（ 永六輔 ）
（ Ei Rokusuke ）
263.
魚ってのは、潮の香りがしなきゃいけない。
魚の臭いがしたら、もうおしまいだ。
（ オスカー・ジゼルト ）
264.
死ぬ前に教へよ鰻罠(うなぎわな)の場所
（ 篠崎央子 ）
（ Shinozaki Hisako ）
265.
福寿草金魚の墓に群れてをり
（ 篠崎央子 ）
（ Shinozaki Hisako ）
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