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寒鯉(かんごい)を雲のごとくに食はず飼ふ
森澄雄[もり・すみお]
(俳人、1919〜2010) 句集『浮鴎』 最も美味と言われる寒鯉を、白雲去来のごとく、食べずに飼っている。
※自注「ある日ある時、飲食にかかわる人間のかなしき所業を捨てて、自ら胸中、一仙人と化して、無数の鯉を飼ってそれと遊ぶ白雲去来の仙境を夢見たのだ」(『森澄雄読本』より) ※寒鯉(かんごい)=寒中にとれた鯉。
また、寒中に水中でじっとしている鯉。 真冬の鯉は、一年の中で最も美味とされる。 冬の季語。 ※雲のごとく=白雲去来のごとく。 ※白雲去来(はくうん・きょらい)=「白雲自去来」(「白雲自去來」)の四字熟語化した言葉。 白雲(はくうん)自(おの)ずから去来(きょらい)す。 禅語で、「白雲」は欲や煩悩の例えで、それらは次々に湧き起こって去来するが、白雲が去来しても山は元の姿のまったく動かないように、人間も本来持っている仏性に気づけば、妄想や煩悩に惑わされることはないということ。
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