孤島の波打際(なみうちぎわ)に、美しい人魚があつまり、うっとりとその笛の音に耳を傾けている。
もし彼女が、ひとめその笛の音の主の姿を見たならば、(その醜さに)きゃっと叫んで悶絶(もんぜつ)するに違いない。 芸術家はそれゆえ、自分のからだをひた隠しに隠して、ただその笛の音だけを吹き送る。 ここに芸術家の悲惨な孤独の宿命もあるのだし、芸術の身を切られるような真の美しさ、気高さ、えい何と言ったらいいのか、つまり芸術さ、そいつが在るのだ。 太宰治[だざい・おさむ]
(明治〜昭和の作家、1909〜1948) 『十五年間』 【 太宰治の名言 】
〈全文〉
私は上品な芸術家に疑惑を抱(いだ)き、「うつくしい」芸術家を否定した。 田舎者の私には、どうもあんなものは、キザで仕様が無かったのである。 __ Link __ ベックリンという海の妖怪(ようかい)などを好んでかく画家の事は、どなたもご存じの事と思う。 あの人の画は、それこそ少し青くさくて、決していいものでないけれども、たしか「芸術家」と題する一枚の画があった。 それは大海の孤島に緑の葉の繁ったふとい樹木が一本生(は)えていて、その樹の蔭かげにからだをかくして小さい笛を吹いているまことにどうも汚ならしいへんな生き物がいる。 かれは自分の汚いからだをかくして笛を吹いている。 孤島の波打際(なみうちぎわ)に、美しい人魚があつまり、うっとりとその笛の音に耳を傾けている。 もし彼女が、ひとめその笛の音の主の姿を見たならば、きゃっと叫んで悶絶(もんぜつ)するに違いない。 芸術家はそれゆえ、自分のからだをひた隠しに隠して、ただその笛の音だけを吹き送る。 ここに芸術家の悲惨な孤独の宿命もあるのだし、芸術の身を切られるような真の美しさ、気高さ、えい何と言ったらいいのか、つまり芸術さ、そいつが在るのだ。 __ Link __ 私は断言する。 真の芸術家は醜いものだ。 __ Link __ 喫茶店のあの気取った色男は、にせものだ。 アンデルセンの「あひるの子」という話を知っているだろう。 小さな可愛(かわい)いあひるの雛(ひな)の中に一匹、ひどくぶざまで醜い雛がまじっていて、皆の虐待と嘲笑(ちょうしょう)の的になる。 意外にもそれは、スワンの雛であった。 巨匠の青年時代は、例外なく醜い。 それは決してサロン向きの可愛げのあるものでは無かった。 __ Link __
1.
( シュバイツァー )
2.
( 荀子 )
3.
( ブライアン・トレーシー )
4.
( 美輪明宏 )
5.
( エルバート・ハバード )
6.
( エマーソン )
7.
( リーラ・ジェイムス )
8.
( 大塚英志 )
9.
( 池内友次郎 )
10.
( 秋元不死男 )
11.
( 稲垣足穂 )
12.
( 橋本喜夫 )
13.
( 野村克也 )
14.
( 広津和郎 )
15.
( 山崎祐子 )
16.
( 堀場雅夫 )
17.
( ジョセフ・マーフィー )
18.
( 辰巳芳子 )
19.
( 島崎藤村 )
20.
( ソポクレス )
21.
( 松尾芭蕉 )
22.
( ロバート・フロスト )
23.
( 日本のことわざ・格言 )
24.
( 三木清 )
25.
( ポール・ヴァレリー )
26.
( ジョージ・ポリア )
27.
( 作者不詳 )
28.
( 神岡学 )
29.
( オードリー・タン )
30.
( カール・ヒルティ )
31.
( オスカー・ワイルド )
32.
( 瀬戸内寂聴 )
33.
34.
( 田辺聖子 )
35.
( モンゴルのことわざ・格言 )
36.
( 三島由紀夫 )
【 北野武 】
【 菅直人 】 【 フランシス・ベーコン 】 【 今東光 】 【 アレクセイ・ノビコフ=プリボイ 】 【 草間三郎 】 【 アン・カイザー・スターンズ 】 【 『後漢書』 】 【 キャロル・リード 】 【 司馬遷 】 【 上岡龍太郎 】 【 聖ベルナール 】 【 高橋尚子 】 【 丸田芳郎 】 【 湯浅誠 】 【 漫画『妄想ダイアリ〜』 】 【 ノーマン・ヴィンセント・ピール 】 【 本質を感じ取る 】
【 人に尽くす 】 【 富 】 【 命の完全燃焼 】 【 大きな果実になる 】 【 机の引き出し 】 【 悪への嫉妬 】 【 値する 】 【 虫の生き方 】 【 不変の愛 】 【 文化を身につける 】 【 関係を言い表す能力 】 【 今という時 】 【 自分の意志で行動 】 【 棺(の中)に入る 】 【 正しい愛情 】 【 訳がある 】 ![]() |