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[ 名言 ]
お恥ずかしいはなしですが、
私は極めて現実的な欲望の強い人間です。
いいものを着たい、おいしいものを食べたい。
いい絵が欲しい。
黒い猫が欲しいとなったら、
どうしても欲しいのです。
それが手に入るまで不平不満を鳴らしつづけるのです。

[ 出典 ]
向田邦子[むこうだ・くにこ]
(脚本家・エッセイスト・小説家、1929〜1981)
「手袋をさがす」
エッセイ集『夜中の薔薇(ばら)』に収載

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〈原文全文〉
お恥ずかしいはなしですが、
私は極めて現実的な欲望の強い人間です。
いいものを着たい、おいしいものを食べたい。
いい絵が欲しい。
黒い猫が欲しいとなったら、
どうしても欲しいのです。
それが手に入るまで不平不満を鳴らしつづけるのです。
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若い時分は、
さすがに自分のこの欠点を恥ずかしいと思い、
もっと志を高く「精神」で生きようとしたものです。
ところが、
私は、物の本で読む偉い人の精神構造にくらべて、
造りが下世話(げせわ)に出来ているのでしょう。
衣食住が自分なりの好みで満ち足りていないと、
精神までいじけてさもしくなってしまう人間なのです。
このイヤな自分をどうしたらよいか、
このことも考えました。
そして──私は決めたのです。
反省するのをやめにしよう──と。
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