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[ 名言 ]
心乱れては歌はよめぬ。
歌は妄念をしずめるものだ。

[ 出典 ]
小林秀雄[こばやし・ひでお]
(文芸評論家、1902〜1983)
「言葉」
『小林秀雄全作品 第23集:考えるヒント 上』(新潮社刊)に収載

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[ 全文・続き ]
〈全文〉
(人間の)自然の情は
不安定な危険な無秩序なものだ。
これをととのえるのが歌(=短歌)である。
だが、言葉というもの自体に
既にその働きがあるではないか。
悲しみに対し、これをととのえようと、
肉体が涙を求めるように、
悲しみに対して、
精神はその意識を、その言葉を求める。
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心乱れては歌はよめぬ。
歌は妄念をしずめるものだ。
__ Link __

だが、考えてみよ、
諸君は心によって心をしずめる事が出来るか、
と宣長(=本居宣長)は問う。
言葉という形の手がかりを求めずしては、
これはかなわぬ事である。
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悲しみ泣く声は、
言葉とは言えず、歌とは言えまい。
寧(むし)ろ一種の動作であるが、
悲しみが切実になれば、
この動作には、
おのずから抑揚がつき、拍子がつくであろう。
これが歌の調べの発生である、
と宣長は考えている。
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