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1.
救いとは、
「帰る場所を与えられる」
ということではないでしょうか。
（ 作者不詳 ）
2.
「おかえりなさい」という家族の言葉には、
帰宅した人が外で受けてきた邪悪なエネルギーを祓(はら)う力がある。
（ 江原啓之 ）
3.
そう、君らにはわかるまいが、
五十六十の堂々たる紳士で、
女房が恐ろしくてうちへ帰れないで、
夜中に外をさまよっているのは、
いくらでもいるんだよ。
（ 川端康成 ）
4.
ともだちって
かぜがうつっても　へいきだって
いってくれるひと。
ともだちって
いっしょに　かえりたくなるひと。
すきなものがちがっても
ともだちはともだち。
だれだって
ひとりぼっちでは　いきてゆけない。
ともだちってすばらしい。
（ 谷川俊太郎 ）
5.
私の兄弟のところに帰ってくる船は、
私のところにも帰ってきているのだ。
（ ネイティブアメリカンのことわざ ）
6.
憶良らは今は罷(まか)らむ子泣くらむ
それその母も我を待つらむぞ
（ 山上憶良 ）
7.
雕琢(ちょうたく)して朴(ぼく)に復(かえ)る。

（漢語表現）彫琢復朴
（ 荘子 ）
8.
帰る家ありて摘みけり草の花
（ 小島健 ）
9.
ウサギは必ず自分のねぐらに帰る。
（ フランスのことわざ・格言 ）
10.
自然に帰れ。
自然の中の人間こそ真の姿である。
（ ジャン・ジャック・ルソー ）
11.
人は旅をして、ついに我が家へ帰る。
人は生きて、ついには大地へ戻る。
（ イギリスのことわざ・格言 ）
12.
天の川まはり道して帰りけり
（ 小阪喜美子 ）
13.
「とりあえずビール」の人というのは、
家に帰ると、とりあえずテレビのスイッチを入れ、
野球をやっていたらとりあえず最後まで見てしまう。
休みの日も、
とりあえずだらだら寝たり、テレビを見たりして過ごしている、
に違いない。
（ 大前研一 ）
14.
帰省して母につがるゝ年酒かな
（ 酒井黙禅 ）
15.
順礼に打ちまじりゆく帰雁(きがん)かな
（ 服部嵐雪 ）
16.
ぽけっとに鯛焼熱き家路かな
（ 相生垣瓜人 ）
17.
帰りなん春曙(はるあけぼの)の胎内へ
（ 佐藤鬼房 ）
18.
鳥帰るいづこの空もさびしからむに
（ 安住敦 ）
19.
母の日の祖母余所行着(よそゆき)をすぐに脱ぐ
（ 池田澄子 ）
20.
帰国して蠅虎(はえとりぐも)の待つわが家
（ 稲畑汀子 ）
21.
いいか、ミュージシャンは音楽のなかに自分の居場所と役割を自分で見つけなければならない。
それができないなら故郷にでも帰ることだ。
（ マイルス・デイヴィス ）
22.
母の日を映画に泣いて妻かへる
（ 那須乙郎 ）
23.
高く心を悟りて
俗に帰るべし。
（ 松尾芭蕉 ）
24.
草おぼろ木おぼろ家路しかと踏む
（ 下村槐太 ）
25.
恋猫の帰り来ぬ風邪の枕もと
（ 久保より江 ）
26.
おそらく大罪はたったひとつ──焦慮(しょうりょ)である。
焦慮のために我々は楽園から追われた。
焦慮のために我々は帰ることが出来ない。
（ フランツ・カフカ ）
27.
白猫の見れども高き帰燕(きえん)かな
（ 飯田蛇笏 ）
28.
ある若者は、
戦いに勝ちぬくという希望を、
ある若者は
戦いがおわり
静かな研究室へ
陽やけして逞(たくま)しい肩をうなだれて
おずおずと帰ってゆくことへの希望を。
（ 大江健三郎 ）
29.
玄関に満ちたる百合の香へ帰る
（ 池田澄子 ）
30.
地に帰る雪の精こそわがをんな
（ 佐藤鬼房 ）

31.
翅(はね)澄みて蛾は春暁の野にかへる
（ 堀口星眠 ）
32.
袋角(ふくろづの)夕陽を詰めて帰りけり
（ 澁谷道 ）
33.
自然に帰れ
（ ジャン・ジャック・ルソー ）
34.
盆三日あまり短かし帰る刻(とき)
（ 角川源義 ）
35.
夫や子供が帰ってきた時に、
不機嫌な妻や母親ではいたくありません。
そうでなくても、
現代は不機嫌な時代なのですから。
（ オードリー・ヘプバーン ）
36.
パパがもっと元気一ぱいで帰ってきて、
私を抱いて散歩にでかけてくれたり、
お湯に入れてあそんでくれたりするといい。
ママの手だすけになる
というような消極的な意味から、
それがいいというのではない。
私はママだけの子ではない。
パパの子でもあるのだ。
だから私はパパにも、
だっこしてもらったりあそんだりしてほしいのだ。
（ 松田道雄 ）
37.
この世のあらゆる書物も
おまえに幸福をもたらしはしない。
だが、書物はひそかに
おまえをおまえ自身の中に立ち帰らせる。
（ ヘルマン・ヘッセ ）
38.
宇宙の森羅万象に対して僕等が十七音を投ずるとき、僕等は何か確実なものを掴んで帰ることを予期している。
（ 山本健吉 ）
39.
本というもの、
買う時には中身はわからない。
家に持って帰って読んでみるまで
その価値は未知であって、
だから本にお金を払う行為は
どこか博打(ばくち)めいている。
（ 池澤夏樹 ）
40.
夕焼に押さるるやうに帰りけり
（ 入部美樹 ）

41.
東京の空を重しと鳥帰る
（ 篠崎央子 ）
42.
鳥帰る無辺の光追ひながら
（ 佐藤鬼房 ）
43.
鳥帰る帰る故郷のありてこそ
（ 村越化石 ）
44.
帰らんと我はいづくへ鳥帰る
（ 森澄雄 ）
45.
人間というものは
年をとるにしたがって、
いかに彼が世界じゅうを走りまわっていても、
おのずから一定の場所が
心のふるさととなってくるものである。
渡り鳥でさえ、
ある一定の場所へ飛んでかえってくる。
（ アンデルセン ）
46.
サラリーマンであるパパ族が、
あまりクタクタになって帰ってくることは、
私たち赤ん坊族にとっては
はなはだ好ましくない。
ママに一〇〇パーセントのサービスを要求するから、
私たち赤ん坊族には
恐るべき競争者があらわれたことになる。
（ 松田道雄 ）
47.
私は
手でさわれない過去の事象を証拠物件にして
現在を推理しようとする
歴史主義者たちを
信用しない。
「行く」という行為は在りうるが
「帰る」という行為はありえないのだ。
回帰するやつは、みんなくたばれ。
（ 寺山修司 ）
48.
丸かじりは痛快である。
食にまつわるもろもろの取り決めを一蹴して潔い。
かじりつき、食いちぎる、という行為は、
食べ物の食べ方の基本である。
原始に帰ったような楽しさ、爽快感がある。
食べ物を、生き生きと食べることができる。
（ 東海林さだお ）
49.
僕は伝統主義者でも復古主義者でもない。
何に還(かえ)れ、彼にに還れといわれてみたところで、
僕等の還るところは現在しかないからだ。
そして現在に於(おい)て
何に還れといわれてみた処(ところ)で
自分自身に還る他はないからだ。
（ 小林秀雄 ）
50.
粘り強さ、外づらの良さを
駅のごみ箱に捨てて立ち去ったが、
それらは私が帰ってくるころには
自宅の玄関前に戻ってきて、
少しびくついた顔で私を見上げながら
しっぽを振る。
（ 綿矢りさ ）

51.
人間は労役しなければならず、
悲しまねばならず、
そして習わねばならず、
忘れねばならず、
そして帰ってゆかなければならぬ
そこからやって来た暗い谷へと、
労役をまた新しく始めるために。
（ 大江健三郎 ）
52.
死にたいという者に、
「生きていたら必ず幸せになる」
と言うことは、実はとても難しい。
死ぬのもそんなに悪いことではない。
死というのは無に帰ることだから、
良くも悪くもない。
生きていても無に近い人だっている。
九割方はそうではないのか。
（ 水木しげる ）
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