自分は飛びおりた。
最後の足が、遂に窓を離れて、身体が空中に投げ出された。 だがその時、足が窓から離れた一瞬時、 不意に別の思想が浮び、電光のやうに閃めいた。 その時始めて、自分ははつきりと生活の意義を知つたのである。 何たる愚事ぞ。 決して、決して、自分は死を選ぶべきでなかつた。 世界は明るく、前途は希望に輝やいて居る。 断じて自分は死にたくない。 死にたくない。 萩原朔太郎[はぎわら・さくたろう]
(大正〜昭和の詩人・作家、1886〜1942) 散文詩「自殺の恐ろしさ」 散文詩集『宿命』 【 萩原朔太郎の名言 】
※原文漢字表記は、「身體(からだ)」「斷(だん)じて」「事實(じじつ)」「實際(じっさい)」「實驗(じっけん)」「幽靈(ゆうれい)」「戰慄(せんりつ)」
《 足 》
《 体・肉体 》 《 突然 》 《 思想 》 《 ひらめき・インスピレーション 》 《 生活・暮らし 》 《 意義 》 《 愚かさ 》 《 死 》 《 選択 》 《 世界 》 《 明るいということ 》 《 希望 》 《 日本の文豪 》 〈全文〉
自殺そのものは恐ろしくない。 自殺に就(つ)いて考へるのは、 死の刹那の苦痛でなくして、 死の決行された瞬時に於(お)ける、 取り返しのつかない悔恨である。 __ Link __ 今、高層建築の五階の窓から、自分は正に飛び下りようと用意して居る。 遺書も既に書き、一切の準備は終つた。 さあ! 目を閉ぢて、飛べ! そして自分は飛びおりた。 最後の足が、遂に窓を離れて、身体が空中に投げ出された。 だがその時、足が窓から離れた一瞬時、 不意に別の思想が浮び、電光のやうに閃めいた。 その時始めて、自分ははつきりと生活の意義を知つたのである。 何たる愚事ぞ。 決して、決して、自分は死を選ぶべきでなかつた。 世界は明るく、前途は希望に輝やいて居る。 断じて自分は死にたくない。 死にたくない。 __ Link __ だがしかし、足は既に窓から離れ、身体は一直線に落下して居る。 地下には固い鋪石。 白いコンクリート。 血に塗れた頭蓋骨! 避けられない決定! この幻想の恐ろしさから、私はいつも白布のやうに蒼ざめてしまふ。 何物も、何物も、決してこれより恐ろしい空想はない。 しかもこんな事実が、実際に有り得ないといふことは無いだらう。 既に死んでしまつた自殺者等が、再度もし生きて口を利いたら、おそらくこの実験を語るであらう。 彼等はすべて、墓場の中で悔恨してゐる幽霊である。 百度も考へて恐ろしく、私は夢の中でさへ戦慄する。
1.
( アンドレ・モーロア )
2.
( 福田恆存 )
3.
( 美輪明宏 )
4.
( ジョセフ・マーフィー )
5.
( ヴィトリオ・アルフィエリ )
6.
( )
7.
( 後藤比奈夫 )
8.
( エディー・リッケンバッカー )
9.
( しまずこういち )
10.
( 芦田宏直 )
11.
( 斎藤茂太 )
12.
( 恒松正敏 )
13.
( 芥川龍之介 )
14.
( アニメ『ウィザード・バリスターズ〜弁魔士セシル』 )
15.
( 辻邦生 )
16.
( 池内友次郎 )
17.
( デモクリトス )
18.
( 中村天風 )
19.
( ボーヴォワール )
20.
( ガリレオ・ガリレイ )
21.
( 七瀬音弥 )
22.
( 太宰治 )
23.
( H・ジャクソン・ブラウンJr. )
24.
( トッド・スキナー )
25.
( 太宰治 )
26.
( 中内功 )
27.
( ウィンストン・チャーチル )
28.
( シャーリー・マクレーン )
29.
( モンティ・ライマン )
30.
( ビリー・ホリデイ )
31.
( 美輪明宏 )
32.
( キアヌ・リーブス )
33.
( ジョセフ・マーフィー )
34.
( サローヤン )
35.
( トーマス・カーライル )
36.
( 中村天風 )
【 メアリー・ピックフォード 】
【 金子勝 】 【 上原専禄 】 【 千利休 】 【 梅原龍三郎 】 【 橘曙覧 】 【 ジョン・リリー 】 【 川上哲治 】 【 岡本喜八 】 【 デイヴィッド・ヒューム 】 【 橋田壽賀子 】 【 新井満 】 【 サルスティウス 】 【 シラー 】 【 「消費者宣言」 】 【 司馬遼太郎 】 【 自堕落 】
【 芸術を残す 】 【 知らない人のひざの上 】 【 自分の嫉妬 】 【 生き残る活路 】 【 道徳の基本 】 【 いい加減にあしらう 】 【 心情のない享楽家 】 【 落ち度 】 【 独特の色使い 】 【 一人のろくでなし 】 【 全てに精通 】 【 植物 】 【 生意気に振る舞う 】 【 自分の選択は正しい 】 ![]() |