二十いくつの石段を登り、だらだらの坂を半丁ほど登り、有頂天の歓喜があるとしたら、市民とは実に幸福なものだと思う。
太宰治[だざい・おさむ]
(明治〜昭和の作家、1909〜1948) 『貪婪禍』(どんらんか) 【 太宰治の名言 】
《 幸せ・幸福 》
〈全文〉
私が旅に出て風景にも人情にも、あまり動かされたことのないのは、その土地の人間の生活が、すぐに、わかってしまうからであろう。 皆、興醒めなほど、一生懸命である。 溪流のほとりの一軒の茶店にも、父祖数代の暗闘があるだろう。 茶店の腰掛一つ新調するに当たっても、一家の並々ならぬ算段があったのだろう。 一日の売上げが、どのように一家の人々に分配され、一喜一憂が繰り返されることか。 風景などは、問題でない。 その村の人たちにとっては、山の木一本溪流の石一つすべて生活と直接に結びついている筈(はず)だ。 そこには、風景はない。 日々の糧が見えるだけだ。 素直に、風景を指さし、驚嘆できる人は幸いなる哉(かな)。 __ Link __ 私の住居は東京の、井の頭公園の裏にあるのだが、日曜毎に、澤山のハイキングの客が、興奮して、あの辺を歩き廻っている。 井の頭の池のところから、石の段々を、二十いくつ登って、それから、だらだらの坂を半丁ほど登ると、御殿山である。 普通の草原であるが、それでも、ハイキングの服装凜々しい男女の客は、興奮している。 樹木の幹に「登山記念、何月何日、何某」とナイフで彫ってある文字を見かけることさえあるが、私には笑えない。 二十いくつの石段を登り、だらだらの坂を半丁ほど登り、有頂天の歓喜があるとしたら、市民とは実に幸福なものだと思う。 __ Link __ 悪業の深い一人の作家だけは、どこへ行っても、何を見ても、苦しい。 気取っているのではないのだ。
1.
( ジョセフ・マーフィー )
2.
( 作者不詳 )
3.
( 加藤諦三 )
4.
( サミュエル・ジョンソン )
5.
( ラ・ブリュイエール )
6.
( シャンフォール )
7.
( 盛田昭夫 )
8.
( サラ・バン・ブラナック )
9.
( アミエル )
10.
( 中勘助 )
11.
( 太宰治 )
12.
( イギリスのことわざ・格言 )
13.
( 漫画『保健室の死神』 )
14.
( 大隈言道 )
15.
( ユルゲン・シュレンプ )
16.
( 漫画・アニメ『銀魂』 )
17.
( 『三略』 )
18.
( 作者不詳 )
19.
( ジョージ・バーナード・ショー )
20.
( ジョセフ・マーフィー )
21.
( 岡本太郎 )
22.
( 糸井重里 )
23.
( マザー・テレサ )
24.
( 森鴎外 )
25.
( グレン・マッキンタイヤー )
26.
( 芥川龍之介 )
27.
( 河井寛次郎 )
28.
( 相田みつを )
29.
( 古泉榮治 )
30.
( 寺山修司 )
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