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101.
ごきぶりの寒夜(かんや)よろめき出でしか
（ 鈴木真砂女 ）
（ Suzuki Masajo ）
102.
凍蝶(いてちょう)の翅(はね)におく霜の重たさよ
（ 高浜虚子 ）
（ Takahama Kyoshi ）
103.
寒いからみんなが凜々(りり)しかりにけり
（ 後藤比奈夫 ）
（ Gotou Hinao ）
104.
料峭(りょうしょう)や海鳥白と黒ばかり
（ 山崎祐子 ）
（ Yamazaki Yuuko ）
105.
われら一夜大いに飲めば寒明けぬ
（ 石田波郷 ）
（ Ishida Hakyou ）
106.
悪友のわけて恋しき寒夜(かんや)かな
（ 宇多喜代子 ）
（ Uda Kiyoko ）
107.
日を寒(さむ)み水も衣(きぬ)きる氷かな
（ 心敬 ）
（ Shinkei ）
108.
霜(しも)を踏んで堅氷(けんびょう)至る
（ 『易経』 ）
（ Ekikyou ）
109.
寒さと貧困があらゆる病気を引き起こす。
（ アラブのことわざ・格言 ）
（ Arab saying ）
110.
大切なものは何だろうか？
暗闇に明かりがただひとつまたたいていること。
寒さの中で暖かさを感じること。
空虚な中で愛を知ること。
（ ジョーン・ウォルシュ・アングランド ）
（ Joan Walsh Anglund ）
111.
（感動による）泣きたがりは、暑がりや寒がりと同じです。
うるさく泣くのはマナーに反します。
（ 糸井重里 ）
（ Itoi Shigesato ）
112.
人の死をうらやみすする寒卵
（ 村越化石 ）
（ Murakoshi Kaseki ）
113.
寒卵振ればちからのあるゆらぎ
（ 澁谷道 ）
（ Shibuya Michi ）
114.
寒鯉(かんごい)の頭のなかの機械かな
（ 八田木枯 ）
（ Hatta Kogarashi ）
115.
それぞれの部屋に戻りし寒さかな
（ 高倉和子 ）
（ Takakura Kazuko ）
116.
天の寒(かん)地に堕ちて白き柱かな
（ 玉村豊男 ）
（ Tamamura Toyoo ）
117.
大寒やポストの音に深さあり
（ 大竹照子 ）
（ Ootake Teruko ）
118.
悴(かじか)む手女は千も万も擦(す)る
（ 山口誓子 ）
（ Yamaguchi Seishi ）
119.
さむきわが影とゆき逢ふ街の角
（ 加藤楸邨 ）
（ Katou Shuuson ）
120.
くちびるを出て朝寒(あささむ)のこえとなる
（ 能村登四郎 ）
（ Nomura Toshirou ）
121.
ちらと目をあげてもさむく街をゆく
（ 京極杞陽 ）
（ Kyougoku Kiyou ）
122.
神は寒さに応じて服を与える。
（ フランソワ・フェヌロン ）
（ Francois Fenelon ）
123.
遠のけば滝音さむき竹林
（ 平井照敏 ）
（ Hirai Shoubin ）
124.
右手つめたし凍蝶(いてちょう)左手へ移す
（ 澁谷道 ）
（ Shibuya Michi ）
125.
頂の寒さを知るために登る
（ 藤井あかり ）
（ Fujii Akari ）
126.
声消えぬ空の雲雀(ひばり)は寒きかな
（ 太田鴻村 ）
（ Oota Kouson ）
127.
寒禽(かんきん)やささやきかはす人の前
（ 下村槐太 ）
（ Shimomura Kaita ）
128.
著(き)ぶくれし背中に話しかけられし
（ 稲畑汀子 ）
（ Inahata Teiko ）
129.
しづけさの寒さにかはるまで椅子に
（ 河内静魚 ）
（ Kawauchi Shizuo ）
130.
死顔に涙の見ゆる寒さかな
（ 大野林火 ）
（ Oono Rinka ）

131.
朝寒(あささむ)やひとり墓前にうづくまる
（ 正岡子規 ）
（ Masaoka Shiki ）
132.
酒の十徳。
独居の友、
万人和合す、
位なくして貴人に交わる、
推参に便あり、
旅行に慈悲あり、
延命に効あり、
百薬の長、
愁いを払う、
労を助く、
寒気に衣となる。
（ 「餅酒」 ）
133.
夏の暑さの方が冬の寒さよりましだ。
（ アラブのことわざ・格言 ）
（ Arab saying ）
134.
北風という寒さがあるから太陽という暖かさの恵みを知る。
人は２本の足で立ってどこへでも歩いていける。
でも、それを有り難いと思っている人は殆(ほとん)どいない。
当たり前だからで、何かで歩けなくなって初めてその有難味を知る。
北風の吹かない人生からは深い味わいが生まれないかもしれない。
（ 志茂田景樹 ）
（ Shimoda Kageki ）
135.
寒風に吹きしぼらるる思ひかな
（ 星野立子 ）
（ Hoshino Tatsuko ）
136.
寒さ堪へがたし妻子待つ灯に急ぐ
（ 大野林火 ）
（ Oono Rinka ）
137.
大晦日は昔も今もさむき夜ぞ
（ 大野林火 ）
（ Oono Rinka ）
138.
東京は寒し青空なればなお
（ 高野ムツオ ）
139.
教室の寒く生徒ら笑はざり
（ 森田峠 ）
（ Morita Touge ）
140.
闇深し子を看る夜の寒さかな
（ 本郷榮 ）
（ Hongou Sakae ）

141.
いつの間に世に無き人ぞ梅雨(つゆ)寒し
（ 高浜虚子 ）
（ Takahama Kyoshi ）
142.
寒鯉(かんごい)を雲のごとくに食はず飼ふ
（ 森澄雄 ）
（ Mori Sumio ）
143.
凍(い)つる星見上げ地上に生きてをり
（ 今橋眞理子 ）
（ Imahashi Mariko ）
144.
忘れゐし寒さといふはとつぜんに
（ 稲畑汀子 ）
（ Inahata Teiko ）
145.
顔寒し電柱は電柱として立てり
（ 秋元不死男 ）
（ Akimoto Fujio ）
146.
詫び状は梃(てこ)でも書かず寒椿(かんつばき)
（ 鈴木真砂女 ）
（ Suzuki Masajo ）
147.
朝寒(あささむ)に慣れて行かねばならぬ日々
（ 稲畑汀子 ）
（ Inahata Teiko ）
148.
夢に来し父に抱かれ寒夜(かんや)なり
（ 堀口星眠 ）
（ Horiguchi Seimin ）
149.
雀見てなぐさむさむき日を籠り
（ 大野林火 ）
（ Oono Rinka ）
150.
まな板に置けば匂ふや寒の芹(せり)
（ 大峯あきら ）
（ Oomine Akira ）

151.
朝寒(あささむ)や旅の宿立つ人の声
（ 炭太祇 ）
（ Tan Taigi ）
152.
道遥かに荒海に沿ふ寒さかな
（ 大須賀乙字 ）
（ Oosuga Otsuji ）
153.
若い心は、
寒さなどで冷えたりはしません。
むしろ、何の感動もひきおこさない日々のぬくもりが、
若者を冷やすのです。
だから若者は旅に出ます。
ポケットに文庫本を押しこんで。
（ 角川文庫の本の帯の言葉 ）
154.
夜中、ふと眼が覚めて、
そのまま眠れなくなったような時とか、
寒い朝いつまでも床を離れられずにいるような場合、
よく古い事を憶(おも)い、
それに想い耽(ふけ)ることがある。
（ 志賀直哉 ）
（ Shiga Naoya ）
155.
だんだん寒くなって来ると、
人間は誰彼といわず、
火を懐かしむ心が湧いて来る。
田舎では炉傍(ろばた)、
都会ならばストーヴの前、長火鉢の周囲、
野外ならば焚火(たきび)を囲んで、
ふだんは散らばりがちな人々の気もちを、
赤々と燃える温かい火が
媒(なかだち)になって結びつける。
（ 鏑木清方 ）
（ Kaburaki Kiyokata ）
156.
けものらの耳さんかくに寒明けぬ
（ 三橋鷹女 ）
（ Mitsuhashi Takajo ）
157.
凍蝶(いてちょう)の日差(ひざし)貪ることもなく
（ 高木石子 ）
（ Takaishi Sekishi ）
158.
お大事にと言うて言われて寒の入
（ 宇多喜代子 ）
（ Uda Kiyoko ）
159.
キヤラメル買つて寒夜(かんや)故(ゆえ)なく淋しめる
（ 岡本眸 ）
（ Okamoto Hitomi ）
160.
考えると美醜の二元相対は、
人間の分別が作為したもので
本来の面目ではあるまい。
丁度天候それ自身に、寒暖の二はなく、
立場を異にするとある人には暑く、
ある人には寒いと呼ばれるに過ぎまい。
（ 柳宗悦 ）
（ Yanagi Muneyoshi ）

161.
犬が寒風を除(よ)けて日向(ひなた)ぼっこをしているのを見ると、
酒を飲んでいる時の境地というものに就(つい)て考えさせられる。
そういう風にぼんやりした気持が
酒を飲むのにいいので、
自棄酒(やけざけ)などというのは、
酒を飲む趣旨から言えば
下の下に属するものである。
（ 吉田健一 ）
（ Yoshida Kenichi ）
162.
考えると美醜の二元相対は、
人間の分別が作為したもので
本来の面目ではあるまい。
（中略）寒さ暑さに自性(じしょう)はない。
ただ縁に従って、
ある時には暑く、
ある時には寒く感じられるに過ぎない。
（ 柳宗悦 ）
（ Yanagi Muneyoshi ）
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