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[ 名言 ]
むかしの社会では、
経験というものは
容易に盗むことのできるものではなかった。
いや、盗むことをゆるさなかった。
ちょうど、宗教上の秘儀のように、
特殊な経験は、
特殊な個人の内部にひっそりととじこめられており、
その個人は、
じぶんがふさわしいと思う特定個人をえらんで、
その人物にだけその経験をゆずりわたすのであった。

[ 出典 ]
加藤秀俊[かとう・ひでとし]
(社会学者、社会・思想・文化評論家、1930〜2023)
『独学のすすめ』

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[ 全文・続き ]
〈全文〉
小説だけではない。
あらゆる読書は、
著者の経験をうけとる、ということである。
著者のこころの経験、あるいは、からだの経験、
それを活字という手段をとおして、
われわれはみずからのなかにとりこんでいるのである。
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べつな言い方をすれば、
読書とは
他人の経験を正々堂々と盗む、ということである。
読書家とは、
経験の大盗人のことである。
そして人間は、
他人の経験を貪欲に盗むことによって
成長する。
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むかしの社会では、
経験というものは
容易に盗むことのできるものではなかった。
いや、盗むことをゆるさなかった。
ちょうど、宗教上の秘儀のように、
特殊な経験は、
特殊な個人の内部にひっそりととじこめられており、
その個人は、
じぶんがふさわしいと思う特定個人をえらんで、
その人物にだけその経験をゆずりわたすのであった。
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