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人生の大事は志である。
志とは、経世(けいせい)の志のことである。 世のためにのみ自分の生命を用い、 たとえ肉体がくだかれても悔いがない、 というものである。 司馬遼太郎[しば・りょうたろう]
(小説家、1923〜1996) 『翔ぶが如く(一)』 ※経世(けいせい)=世を治めること。
政治・施策によって世を治めること。 ここでは、政治という手段に限定せず、「世の中を良くしていこう」「世のためになることをしよう」というニュアンスが強い。 ※経世済民(けいせいさいみん)=世の中を治め、人民の苦しみを救うこと。 経国済民。
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日本的に理解された禅のほかに、 日本的に理解された儒教とくに朱子学が江戸期の武士をつくった。 朱子学によって江戸期の武士は志というものを知った。 朱子学が江戸期の武士に教えたことは端的にいえば 人生の大事は志であるということ以外になかったかもしれない。 志とは、経世(けいせい)の志のことである。 世のためにのみ自分の生命を用い、 たとえ肉体がくだかれても悔いがない、 というもので、 禅から得た仮託思想と儒教から得た志の思想が、 両要素ともきわめて単純化されて 江戸期の武士という像をつくりあげた。
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