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平和は人類の念願でありながらも、絶えざる勝敗の賭けごとを続けなければならぬところに、人生のいたましさを思う。

[ 出典 ]
九条武子[くじょう・たけこ]
(教育者、京都女子学園・京都女子大学設立者、歌人、社会運動活動家、仏教婦人会創設者、1887〜1928)
自著『無憂華』
「闘争のページ」

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〈全文〉
世界の歴史は、剣と血の歴史である。
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もし此(こ)のなかから、戦争のページを除いたならば、歴史はその大半の内容を失ってしまうであろう。
人類は今に至るまで、かく苦き経験をくりかえしながらも、なお血腥(ちなまぐさ)き闘争のもとに、生命を虐(しいた)げ合っている。

闘争を人類の本能であるかのごとく思うのはかなしい。
有史以来人類は未(いま)だかって平安なよき世界に恵まれなかったが、平和を慕う心は、現代においていよいよ燃えてきた。
もとより地上の平和が、完全にしかも永久に、たもたれることは、むずかしいかも知れない。
少くとも今日は、いまだ平和の来らざる日である。
平和は人類の念願でありながらも、絶えざる勝敗の賭けごとを続けなければならぬところに、人生のいたましさを思う。
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