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1.
痛み経て　真珠となりし　貝の春
（ 青木恵哉 ）
（ Aoki Keisai ）
2.
あるがまま雑草として芽をふく
（ 種田山頭火 ）
（ Taneda Santouka ）
3.
人の行く裏に道あり花の山
（ 株・相場の格言 ）
（ Kabu proverb ）
4.
酒なくて何の己(おのれ)が桜かな
（ 川柳 ）
5.
いのち惜し　しづかに花の　散りぬれば
（ 桂信子 ）
（ Katsura Nobuko ）
6.
ひかり野へ君なら蝶に乗れるだろう
（ 折笠美秋 ）
（ Orisaka Bishuu ）
7.
散る桜　残る桜も　散る桜
（ 良寛 ）
（ Ryoukan ）
8.
苦節には十年は足らず冴(さえ)返る
（ 秋元不死男 ）
（ Akimoto Fujio ）
9.
一を知つて二を知らぬなり卒業す
（ 高浜虚子 ）
（ Takahama Kyoshi ）
10.
鞦韆(しゅうせん)は漕(こ)ぐべし愛は奪ふべし
（ 三橋鷹女 ）
（ Mitsuhashi Takajo ）
11.
散るを見てこぬ人かこつ花もなし
（ 心敬 ）
（ Shinkei ）
12.
老木の芽をいそげるをあはれみぬ
（ 富安風生 ）
（ Tomiyasu Fuusei ）
13.
ぬけぬけと　「鬼は外」とは　その口で
（ 仏教の法語 ）
14.
散る花を悼(いた)む心も慌(あわただ)し
（ 高浜虚子 ）
（ Takahama Kyoshi ）
15.
啓蟄やわれらは何をかく急ぐ
（ 中村汀女 ）
（ Nakamura Teijo ）
16.
生涯は一度落花はしきりなり
（ 野見山朱鳥 ）
（ Nomiyama Asuka ）
17.
畑(はた)打つや土よろこんでくだけけり
（ 阿波野青畝 ）
（ Awano Seiho ）
18.
一(ひと)と本(ほん)の青麦若(も)し死なずんばてふ(ちょう)語かなし
（ 中村草田男 ）
（ Nakamura Kusatao ）
19.
手折(たお)らるる人に薫るや梅の花
（ 加賀千代女 ）
（ Kagano Chiyojo ）
20.
いつか死ぬ必ず春が来るように
（ 池田澄子 ）
（ Ikeda Sumiko ）
21.
梅一輪いちりんほどの暖かさ
（ 服部嵐雪 ）
（ Hattori Ransetsu ）
22.
過ぎ去つてみれば月日のあたたかし
（ 山田弘子 ）
（ Yamada Hiroko ）
23.
わが道をひたすらに行く春の虹
（ 大久保橙青 ）
（ Ookubo Tousei ）
24.
生くることやうやく楽し老(おい)の春
（ 富安風生 ）
（ Tomiyasu Fuusei ）
25.
野に出(い)でよ見わたすかぎり春の風
（ 辻貨物船［辻征夫］ ）
（ Tsuji Yukio ）
26.
散る花よ散る花よ皆面(おもて)上げ
（ 稲畑汀子 ）
（ Inahata Teiko ）
27.
バレンタイン世はそれ程に甘くない
（ 丸山佳子 ）
（ Maruyama Yoshiko ）
28.
鞦韆(ぶらんこ)をゆらして老(おい)を鞣(なめ)しけり
（ 八田木枯 ）
（ Hatta Kogarashi ）
29.
春眠をむさぼりて悔(くい)なかりけり
（ 久保田万太郎 ）
（ Kubota Mantarou ）
30.
ブランコを椅子(いす)と思えば風やわらか
（ 池田澄子 ）
（ Ikeda Sumiko ）

31.
春愁(しゅんしゅう)やむしろちまたの人むれに
（ 岡野由次 ）
32.
天才に少し離れて花見かな
（ 柿本多映 ）
（ Kakimoto Tae ）
33.
道とほきこと美しや春の草
（ 深川正一郎 ）
（ Fukagawa Shouichirou ）
34.
吹けよ降れ寸寸寸と松の芯
（ 丸山佳子 ）
（ Maruyama Yoshiko ）
35.
蕗の薹(ふきのとう)空が面白うてならぬ
（ 仲寒蝉 ）
（ Naka Kansen ）
36.
どうどうと雪解(ゆきげ)に借りし詫(わび)ことば
（ 秋元不死男 ）
（ Akimoto Fujio ）
37.
書けぬ日の蟻蜂は尻見せにくる
（ 秋元不死男 ）
（ Akimoto Fujio ）
38.
花衣(はなごろも)地味が人目を引きにけり
（ 鈴木真砂女 ）
（ Suzuki Masajo ）
39.
美しく木の芽(このめ)の如くつつましく
（ 京極杞陽 ）
（ Kyougoku Kiyou ）
40.
野遊(のあそび)に来てまで本を読んでをり
（ 稲畑汀子 ）
（ Inahata Teiko ）

41.
花吹雪悲嘆に遇(あ)はぬ母の死後
（ 秋元不死男 ）
（ Akimoto Fujio ）
42.
麗(うらら)かといふだけで満ち足りたる日
（ 稲畑汀子 ）
（ Inahata Teiko ）
43.
花種子(はなだね)を播(ま)くは別離の近きゆゑ
（ 佐藤鬼房 ）
（ Satou Onifusa ）
44.
春寒のよりそひ行けば人目ある
（ 高浜虚子 ）
（ Takahama Kyoshi ）
45.
世の中は三日見ぬ間(ま)に桜かな
（ 大島蓼太 ）
（ Ooshima Ryouta ）
46.
さまざまのこと思ひ出す桜かな
（ 松尾芭蕉 ）
（ Matsuo Bashou ）
47.
世の中は三日見ぬ間(ま)の桜かな
（ 川柳 ）
48.
春風(はるかぜ)や闘志いだきて丘に立つ
（ 高浜虚子 ）
（ Takahama Kyoshi ）
49.
気に入らぬ　風もあろうに　柳かな
（ 川柳 ）
50.
風雪に　耐えねば咲かぬ　梅の花
（ 八田一朗 ）
（ Hatta Ichirou ）

51.
無為(むい)といふこと千金や春の宵(よい)
（ 富安風生 ）
（ Tomiyasu Fuusei ）
52.
粧(よそほ)ひのあたゝかければ大胆に
（ 稲畑汀子 ）
（ Inahata Teiko ）
53.
可愛いと言はれ可愛くなる子猫
（ 金子敦 ）
（ Kaneko Atsushi ）
54.
朝凪(なぎ)やただ一すぢにあげ雲雀(ひばり)
（ 大島蓼太 ）
（ Ooshima Ryouta ）
55.
春夏秋冬
あしたもよろし
ゆふべもよろし
（ 種田山頭火 ）
（ Taneda Santouka ）
56.
ふだん着でふだんの心桃の花
（ 細見綾子 ）
（ Hosomi Ayako ）
57.
花冷(はなびえ)が花の命を引き延ばす
（ 小林榮子 ）
（ Kobayashi Eiko ）
58.
いたづらに月日過ごして春惜む
（ 大平保子 ）
（ Oohira Yasuko ）
59.
何(なに)になる空見すまして雲雀(ひばり)かな
（ 加賀千代女 ）
（ Kagano Chiyojo ）
60.
草餅や老いぬるほどに母恋し
（ 米田双葉子 ）
（ Yoneda Souyoushi ）

61.
ほそい指の女の笑みやすみれ咲く
（ 片岡義順 ）
（ Kataoka Gijun ）
62.
言の葉を選びてバレンタインデー
（ 稲畑廣太郎 ）
（ Inahata Koutarou ）
63.
くらげくらげ　触れ合って温かい。痛い。
（ 福田若之 ）
（ Fukuda Wakayuki ）
64.
水風船(しやぼんだま)行きつくところが死に処
（ 折笠美秋 ）
（ Orisaka Bishuu ）
65.
爪に火をともす育ちの老(おい)の春
（ 阿波野青畝 ）
（ Awano Seiho ）
66.
身の不遇託(かこ)つ快楽よ花の下
（ 宇多喜代子 ）
（ Uda Kiyoko ）
67.
亀鳴くや齢(とし)など数へたくもなし
（ 鈴木真砂女 ）
（ Suzuki Masajo ）
68.
起きよ起きよ我が友にせんぬる胡蝶(こちょう)
（ 松尾芭蕉 ）
（ Matsuo Bashou ）
69.
枝ぶりの良きも悪しきも松の芯
（ 山田六甲 ）
（ Yamada Rokkou ）
70.
春淋し波にとゞかぬ石を投げ
（ 鈴木真砂女 ）
（ Suzuki Masajo ）

71.
野遊びのつづきのやうに結婚す
（ 山口優夢 ）
（ Yamaguchi Yuumu ）
72.
巡り来て再び仰ぐ初桜
（ 鈴鹿野風呂 ）
（ Suzuka Noburo ）
73.
戦争の次は花見のニュースなり
（ 山口優夢 ）
（ Yamaguchi Yuumu ）
74.
ことごとく申(もう)は尽(つくさ)じ花の春
（ 黒柳召波 ）
（ Kuroyanagi Shouha ）
75.
物をいふまでは名のなき木の芽(このめ)哉(かな)
（ 加賀千代女 ）
（ Kagano Chiyojo ）
76.
目刺焼くラジオが喋る皆ひとごと
（ 波多野爽波 ）
（ Hatano Souha ）
77.
春眠のあぁぽかぽかという副詞
（ 池田澄子 ）
（ Ikeda Sumiko ）
78.
冴(さえ)返るすまじきものの中に恋
（ 鈴木真砂女 ）
（ Suzuki Masajo ）
79.
菊根分けあとは自分の土で咲け
（ 吉川英治 ）
（ Yoshikawa Eiji ）
80.
また同じタイプに夢中万愚節
（ 黛まどか ）
（ Mayuzumi Madoka ）

81.
願はくば朧月夜(おぼろづきよ)の落椿(おちつばき)
（ 坪内逍遥 ）
（ Tsubouchi Shouyou ）
82.
さくら咲き心足(こころた)る日の遠まわり
（ 林翔 ）
（ Hayashi Shou ）
83.
老(おい)の身に青みくはゆる若菜かな
（ 向井去来 ）
（ Mukai Kyorai ）
84.
我家(わがや)今日悲しきときの桜鯛
（ 稲畑汀子 ）
（ Inahata Teiko ）
85.
老残や時を超えたる花であれ
（ 佐藤鬼房 ）
（ Satou Onifusa ）
86.
恋猫のほだしも二十日ばかりなり
（ 加藤暁台 ）
（ Katou Kyoutai ）
87.
学校の音春眠を妨げず
（ 竹下しづの女 ）
（ Takeshita Sizunojo ）
88.
妻亡くせるばかりの春の炬燵(こたつ)かな
（ 鈴木真砂女 ）
（ Suzuki Masajo ）
89.
憂うつと共に飛んでけしゃぼん玉
（ 佐藤純 ）
90.
芽柳を抜けてゆくとき風見ゆる
（ 稲畑汀子 ）
（ Inahata Teiko ）

91.
もの芽出(い)づ一夜の雨のはからひに
（ 上村占魚 ）
（ Uemora Sengyo ）
92.
人を見る如(ごと)く椿(つばき)の花円く
（ 岸本尚毅 ）
（ Kishimoto Naoki ）
93.
春といふだけで旅路の華やげる
（ 稲畑汀子 ）
（ Inahata Teiko ）
94.
卒業歌ひろがりゆきて声くらし
（ 能村登四郎 ）
（ Nomura Toshirou ）
95.
春愁(しゅんしゅう)の中なる思ひ出し笑ひ
（ 能村登四郎 ）
（ Nomura Toshirou ）
96.
老ひそめて花見るこゝろひろやかに
（ 飯田蛇笏 ）
（ Iida Dakotsu ）
97.
種蒔ける者の足あと洽(あまね)しや
（ 中村草田男 ）
（ Nakamura Kusatao ）
98.
歌うたふやうに風船あがりけり
（ 植竹春子 ）
（ Uetake Haruko ）
99.
荒塩に妻の指跡春逝(ゆ)けり
（ 能村登四郎 ）
（ Nomura Toshirou ）
100.
春の夜の細螺(きさご)の遊(あそび)きりもなし
（ 大石悦子 ）
（ Ooishi Etsuko ）

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