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本を読むというのは、言葉に対してじぶんから一対一の関係を結ぶことなのですから、本と付きあうとは、すなわち一人のじぶんの姿勢、ありようをいま、ここにみずから質(ただ)す機会をもつということです。

[ 出典 ]
長田弘[おさだ・ひろし]
(詩人、1939〜2015)
『本という不思議』
章「なぜ本なのか」

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〈抜粋文全文〉
今まで本という文化は、若いうちに本を読めというような掛け声とともに、ともすれば若い世代の「ための」文化のようにとらえられがちで、またそういうものとして疑われることがなかった。

けれども、今日にしてやっと若い世代の本離れ、活字離れが社会的にひろく云々(うんぬん)されるようになってきたというのは、むしろようやく本という文化が社会的に成熟の兆しをみせて、ともすれば若い文化としてしか考えられてこなかったような時代が終わりつつある結果というふうに考えるべきだ、と思うのです。
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子どもの「ための」本という考え方が失効しているように、若い世代の「ための」本という考え方もすでに失効しているのではないか……
いい年になったらちゃんと本を読み、若いときにちゃんとジョギングをしたほうがずっといい、と思う。
いい年になったらというのは、一人に返される年齢になったら、ということです。
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じぶんというものが一人に返されてはじめて、ほんとうに本への欲求というものがじぶんのなかに切実な思いとしてでてくると思える。
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本を読むというのは、言葉に対してじぶんから一対一の関係を結ぶことなのですから、本と付きあうとは、すなわち一人のじぶんの姿勢、ありようをいま、ここにみずから質(ただ)す機会をもつということです。
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