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[ 名言 ]
もしも誰かに、平和とは何か訊かれたら、秋のうつくしさと答えたい。

[ 出典 ]
長田弘[おさだ・ひろし]
(詩人、1939〜2015)
詩「一番静かな秋」

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〈全文〉
石一つ一つ。
木々の梢一つ一つ。
雲一つ一つ。
水の光一つ一つ。
およそ、もののかたちの輪郭の 一つ一つが、隅々までも くっきりと見えてくる。
そんな朝がきたら、今年も秋がきたのだと知れる。
一つ一つがおそろしいほど精細なすべてのかけらの、いっさい間然するところがない集合が、秋なのだ。
一つ一つのうつくしいかけらがつくる秋のうつくしさ。
もしも誰かに、平和とは何か訊かれたら、秋のうつくしさと答えたい。
かけら・Pieceと平和・Peaceとは、おなじなのである。
ピース・Peace、おなじ音、おなじ響き、おなじくぐもり。
ことばには、いまでも、神々の息の痕がそのままのこっている。
時は秋、日は真昼、大気澄み、紅葉色づき、百舌鳴きて、神々そらに知らしめし、すべて世は事もなし。
かつてはそういった時代もあったのだ。
けれども、いまは、すべてがただ束の間のうちに過ぎてゆく。
人の世の平和とは何だろうかと考える。
終日、シューベルトの「冬の旅」を聴く。
ああ、空がこれほど穏やかだとは!
ああ、世がこれほど明るいとは!


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