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肩書や資格を取るために、作品を書いているのでもないでしょう。
太宰治[だざい・おさむ]
(明治〜昭和の作家、1909〜1948) 『風の便り』 井原退蔵が木戸一郎にあてた手紙より 《 文章の書き方 》
〈全文〉
自分は君に、「作家は仕事をしなければならぬ。」と再三、忠告した筈でありました。 それは決して、一篇の傑作を書け、という意味ではなかったのです。 __ Link __ それさえ一つ書いたら死んでもいいなんて、そんな傑作は、あるもんじゃない。 __ Link __ 作家は、歩くように、いつでも仕事をしていなければならぬという事を私は言ったつもりです。 生活と同じ速度で、呼吸と同じ調子で、絶えず歩いていなければならぬ。 どこまで行ったら一休み出来るとか、これを一つ書いたら、当分、威張って怠けていてもいいとか、そんな事は、学校の試験勉強みたいで、ふざけた話だ。 なめている。 __ Link __ 肩書や資格を取るために、作品を書いているのでもないでしょう。 __ Link __ 生きているのと同じ速度で、あせらず怠らず、絶えず仕事をすすめていなければならぬ。 __ Link __ 駄作だの傑作だの凡作だのというのは、後の人が各々の好みできめる事です。 作家が後もどりして、その評定に参加している図は、奇妙なものです。 作家は、平気で歩いて居ればいいのです。 五十年、六十年、死ぬるまで歩いていなければならぬ。 __ Link __ 「傑作」を、せめて一つと、りきんでいるのは、あれは逃げ仕度をしている人です。 それを書いて、休みたい。 自殺する作家には、この傑作意識の犠牲者が多いようです。 __ Link __
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( ドラマ『聖女』 )
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