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[ 名言 ]
(写真家というのはいやなやつなのである)
例えばわたしみたいに、
手前(=自分)のアラはちっとも見えないくせに、
他人のアラは必要以上に細かく見えて、
しばしば失礼きわまる悪口をあびせるということになる。

[ 出典 ]
土門拳[どもん・けん]
(昭和期の写真家、1909〜1990)
『死ぬことと生きること』

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[ 補足 ]
※「(写真家というのはいやなやつなのである)」は前段部より補足。

※「(=自分)」は七瀬音弥による補足

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[ 全文・続き ]
〈全文〉
写真家は自分の内部に目を向けない。
写真家の目は、
常に自分のまわりにひろがる外に注がれている。
カメラの機能が習い性となったというよりは、
もともと内省、反省、自己批判といったものには弱い人間である。
__ Link __

いうなれば、
金持の我儘(わがまま)な一人息子みたいな、
いやなやつなのである。
例えばわたしみたいに、
手前(=自分)のアラはちっとも見えないくせに、
他人のアラは必要以上に細かく見えて、
しばしば失礼きわまる悪口をあびせるということになる。
__ Link __

「聖人は善をいい、小人はこれに反す」
と昔のひとがいったが、
__ Link __

まったくその通りである。
しかしわたしは聖人になりたくない。
小人に甘んじて、
こころおきなく悪口をいいたい。
それが痛烈であればあるほど
楽しいのである。
聖人など、糞くらえである。
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