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[ 名言 ]
明朝体の活字は、
書き手の文字の個性をいったんすべて取払って、
文章の個性をゆっくり滲(にじ)み出させる。
原稿の文字は、
あまりにその書き手の個性が露骨に出すぎていて、
見ているとうるさく感じる。

[ 出典 ]
吉行淳之介[よしゆき・じゅんのすけ]
(小説家、1924〜1994)
『自家謹製 小説読本』

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[ 全文・続き ]
〈全文〉
活字、とくに明朝体の活字が、
私はたいへん好きだ。
あれは、書き手の文字の個性をいったんすべて取払って、
文章の個性をゆっくり滲(にじ)み出させる。
原稿の文字は、
あまりにその書き手の個性が露骨に出すぎていて、
見ているとうるさく感じる。
それでは、
活字自体に個性がないか、といえば、
水が無味といわれているにもかかわらず、
人工ではつくり出せるものではない微妙な味があるのに似ている。


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