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[ 名言 ]
優れた人間は、
ともするとすべてを自分でやりたがる。
細かなことでも心配で
誰かに任せる気になれない。
芸術家や職人の世界なら、
それでもやっていけるが、
組織でそれをやれば
「ワンマン体制」が出来上がるだけだ。

[ 出典 ]
大西一平[おおにし・いっぺい]
(元ラグビー選手、ラグビー指導者、1964〜)

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[ 意味 ]
実務の技能に優れた人がリーダーになると、部下の仕事に粗が見えてしまい、細かなことにも口出ししたくなるものである。
しかし、それでは部下のやる気が出ないし、部下の成長もない。
リーダーになったのであれば、リーダーはリーダーにしかできないことを優先してするべきである。

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[ 全文・続き ]
〈全文〉
優れた人間は、
ともするとすべてを自分でやりたがる。
細かなことでも心配で
誰かに任せる気になれない。
芸術家や職人の世界なら、
それでもやっていけるが、
組織でそれをやれば
「ワンマン体制」が出来上がるだけだ。
__ Link __

個人として優れていればいるほど、
それで墓穴を掘るケースが多い。
__ Link __

[ 解説 ]
自分なりのノウハウや方法論を持っていて、それに執拗にこだわる人、みなさんの周りにも必ず一人や二人はいるものです。
能力的には非常に高いものを持っていて、またとても勤勉に働くのですが、頑固でとっつきにくい。
周りからも、少し浮いた感じの人です。


■このようなタイプの人は、よく言えば「職人肌」「芸術家タイプ」です。
個人で活動する職人や芸術家になれば、おそらくきっと成功するでしょう。
しかし、会社のような「組織」に所属したら、周りから敬遠される可能性が非常に高いのです。
彼ら彼女らは、歯に衣着せぬ物言いで、他の人のやり方を批判します。
たとえそれが先輩や上司でも遠慮しません。
言っていること自体は正しいので、誰も文句は言えません。
だから、その代わりに「敬遠」されるのです。
そして次第に周りから「孤立」して行きます。
もっとも、彼ら彼女らにとって、「孤立」は一種の「勲章」ですから、さほど気にはしないようですが。


■「職人肌」「芸術家タイプ」の人は、よほどその人がいなければ成り立たないような、高度な技術や創造性を必要とする仕事でない限り、組織からは外されると思って間違いないでしょう。
逆に言えば、「職人肌」「芸術家タイプ」が組織で生き残るには、そういう職種や組織を選ぶしかないのです。
これはとても大事なことです。
実際、多くの「職人肌」「芸術家タイプ」が、職種や組織の選択を誤って、その優れた能力を発揮できずにいるからです。


■「職人肌」「芸術家タイプ」の人はたいてい、自分なりのノウハウを持っていて、自分の能力や技術に強い自信を持っているものです。
そのため、「他人に任せる」ことがなかなかできません。
なぜなら、自分がやった方が「絶対良くできる」と思うからです。
また、実際にその出来ばえを見ると、確かにその人の方が「ずっと良くできている」場合が多いです。
だから、ますます人に任せなくなる傾向が強くなるのです。


■さて、この「職人肌」「芸術家タイプ」が、組織のリーダーとなった場合、どうなるでしょう?
「人に任せられない」傾向は、リーダーになってもなかなか変わりません。
本来、部下達に任せていればいいようなささいなことでも、自分でやりたがるのです。


■また、相変わらず人のやり方が気になります。
それどころか、今度は自分の全責任になるので、さらにひどくなります。
部下のやり方が自分の流儀に合わなければ気に入らず、口うるさく指摘したり、注意したり、やり直させたりします。
おそらく、その指摘や注意のほとんどは正しく、理にかなったものなのでしょう。


■しかし、あらゆることに口を出されたら、部下の方はたまったものではありません。
任せてもらえない。
自分のやり方でやってみたいのに、させてもらえない。
挑戦させてもらえない。
失敗すらさせてもらえない。
そこに「反発心」や「反感」が生まれるのです。
それはやがて、部下のやる気低下につながり、結局、組織全体の活気は失われて、ダメになってしまうのです。


■このように、「職人肌」「芸術家タイプ」は、個人としては有能であっても、組織のリーダーには向かない場合が多いのです。
それは、自分の技術や方法論に自信がありすぎて、「ワンマン」になってしまうからです。
もちろん「ワンマン」は、時には良い場合もあります。
組織自体がまだ新しくて、組織の方向性が定まっていなかったり、また、組織のメンバーの力が育っていない場合です。
このような場合は、「ワンマン・リーダー」による強烈なリーダー・シップと指導力が不可欠です。
しかし、部下に力がついてきたら、状況はかなり変わってきます。
部下のやる気を高め、さらに能力を高めるには、ある程度、いやむしろかなりの部分を「任せる」ことが大切になってくるのです。
しかし、悲しいかな、「人にまかせる」ことは、「職人肌」「芸術家タイプ」にとっては身を切るような「寂しさ」と「苦痛」を感じることなのです。


■「職人肌」「芸術家タイプ」は、万一リーダーになったら、それまでの考えを切り替えなければなりません。
それができないなら、リーダーにはならない、またはリーダーを辞めるべきなのです。
たとえリーダーならなくても、「自分の道」を極めることはできます。
また、「自分の道」を極める方に専念した方が、「職人肌」「芸術家タイプ」にとってはるかに幸せなことなのです。
(ながれおとや)


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