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女性が、いたずらに装飾を俟(ま)って、作られた美を顕(あら)わそうとつとめる。
本真を忘れて、技巧を弄(ろう)するところに、いたましき美の混乱が生じてくる。 本真に逆(さから)う虚偽の美より醜いものはない。 九条武子[くじょう・たけこ]
(教育者、京都女子学園・京都女子大学設立者、歌人、社会運動活動家、仏教婦人会創設者、1887〜1928) 自著『無憂華』 「美の混乱」 ※装飾を俟(ま)って=装飾によって。
※本真(ほんしん)=真実、事実、実際、まこと。 〈全文〉
自然のすがたには何人(なんぴと)も反感をもたない。 それはいたずらに飾られた詐(いつわ)りがないからである。 __ Link __ 梅も百合も、さては名もなき野の花も、自然の寵児は、自らに恵まれた個性を、素直に発揮してゆくところに、みずからの生命を愉躍(ゆやく)し、そしてよく他と調和して、自然界の平安な美を保っている。 __ Link __ しかし人生の美を分担している女性が、いたずらに装飾を俟(ま)って、作られた美を顕(あら)わそうとつとめる。 本真を忘れて、技巧を弄(ろう)するところに、いたましき美の混乱が生じてくる。 本真に逆(さから)う虚偽の美より醜いものはない。 __ Link __
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( 永田敬子 )
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