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女との情事はめしのようだ。
人間が腹がへると めしが食いたくなるが、 喰(た)べてしまえば めしのことなどは考えない。 山本周五郎[やまもと・しゅうごろう]
(大正〜昭和の小説家、1903〜1967) 『おさん』
〈全文〉
世の中に男と女がある以上、 男が女をおもい 女が男をおもうのは当然だろう。 けれども、人間は それだけで生きているものじゃあない、 生きるためにはまず仕事というものがあるし、 __ Link __ 人並なことをしていたんでは 満足に生きることはできない。 ■(続き) いくらかましなくらしをしようと思えば、 人にまねのできない仕事、 誰も気づかないくふう、 新しい手、 といったものを作り出さなければならない。 __ Link __ それはいつもたやすいことじゃあない、 ほんの爪の先ほどのくふうでも、 あぶら汗をながし、 しんの萎(な)えるほど苦しむことが少なくない。 だからこそ、 一(ひ)とくふう仕上げたよろこびも大きいのだろう。 __ Link __ 男にとっては、 惚れた女をくどきおとすより、 そういうときのよろこびのほうが深く大きいものだ。 女との情事はめしのようだと云(い)っては悪いか。 人間が腹がへると めしが食いたくなるが、 喰(た)べてしまえば めしのことなどは考えない。 __ Link __
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