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合鍵一個でみなひらく手頃の世界は、いやなのであった。
そんなもので魂の正面が見えるはずがない、と思うし、
その辺に、たとえば自分自身にあまり近く存在する魂は、とても胡散臭くて信じられない。

[ 出典 ]
安井浩司[やすい・こうじ]
(俳人、1936〜2022)
「渇仰のはて─俳句の文体と構造」
評論集『海辺のアポリア』に収載

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〈原文〉
射るべき“魂”は、やはり、遙かに遠いところに在る、と考え、
私はこの形式と契約し合っていたことである。
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合鍵一個でみなひらく手頃の世界は、いやなのであった。
そんなもので魂の正面が見えるはずがない、と思うし、
その辺に、たとえば自分自身にあまり近く存在する魂は、とても胡散臭くて信じられないことである。
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(中略)更にいえば、撃っても、その場で的に当たったかどうかは簡単に判ってはいけないし、
また誰も(簡単には)判りはしないのである。
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