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[ 名言 ]
「友あり遠方より来(きた)る。
 また楽しからずや。」
(中略)わが思想ただちに世に容(い)れられずとも、思いもかけぬ遠方の人より支持の声を聞く、また楽しからずや、というような意味なんだそうだ。
決して、その主人が退屈して畳にごろりと寝ころんでいるのではなく、おのが理想に向って勇往邁進している姿なのだそうである。

[ 出典 ]
太宰治[だざい・おさむ]
(明治〜昭和の作家、1909〜1948)
『正義と微笑』
主人公の言葉

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〈全文〉
きょうの漢文の講義は少し面白(おもしろ)かった。
中学校の時の教科書とあまり変りが無かったので、また同じ事を繰り返すのかと、うんざりしていたら、講義の内容がさすがに違っていた。
「友あり遠方より来(きた)る。
 また楽しからずや。」という一句の解釈だけに一時間たっぷりかかったのには感心した。
中学校の時には、この句は、ただ、親しい友が遠くから、ひょっこりたずねて来てくれるのは嬉しいものだ、というだけの意味のものとして教えられた。
たしかに、漢文のガマ仙(せん)が、そう教えた。
そうして、ガマ仙は、にたりにたりと笑いながら、「たいくつしている時に、庭先から友人が、上酒を一升、それに鴨(かも)一羽などの手土産をさげて、よう!
 と言ってあらわれた時には、うれしいからな。
 本当に、この人生で最もたのしい瞬間かも知れない。」とひとりで悦にいっていたものだ。
ところが、それは大違い。
きょうの矢部一太氏の講義に依(よ)れば、この句は決して、そんな上酒一升、鴨一羽など卑俗な現実生活のたのしみを言っているのではなく、全然、形而上学(けいじじょうがく)的な語句であった。
すなわち、わが思想ただちに世に容(い)れられずとも、思いもかけぬ遠方の人より支持の声を聞く、また楽しからずや、というような意味なんだそうだ。
的中の気配を、かすかにその身に感覚する時のよろこびを歌っているのだそうだ。
理想主義者の最高の願望が、この一句に歌い込められているのだそうだ。
決して、その主人が退屈して畳にごろりと寝ころんでいるのではなく、おのが理想に向って勇往邁進している姿なのだそうである。


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