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[ 名言 ]
記憶というのは、
もとのものをそのままにたもつのではなく、
もとからのものを、
じぶんの心のかたちにしたがって、
ゆっくりと変えてゆく。

[ 出典 ]
長田弘[おさだ・ひろし]
(詩人、1939〜2015)
詩集『幸いなるかな本を読む人』
あとがき

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〈抜粋文全文〉
いつでも目の前に開かれてあるような、
──忘れられない、というより、忘れさせない、
──時を経ても、ずっと心から離れない本がある。
けれども、じぶんではそうと思っていても、
それは、もともとの本とはすでにちがう本だ。

記憶というのは、
もとのものをそのままにたもつのではなく、
もとからのものを、
じぶんの心のかたちにしたがって、ゆっくりと変えてゆく。
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心から離れない本と思っているのは、実は、
読んでから後、
いくども心のなかに抜き書きをかさね、
書き込みを繰りかえし、
記憶の行間に立ちどまり、
またその余白に入り込み、
目をつむり、そうして遠く思いを運ばれて、
というふうなしかたで、
いつかじぶんで親しくつくりかえてきた本なのだ。
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読書は正解をもとめることとはちがうと思う。
わたしはこう読んだというよりほかないのが、
読書という自由だ。
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