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小説家というものは恥知らずの愚者だという事だけは、
考えるまでもなく、 まず決定的なものらしい。 太宰治[だざい・おさむ]
(明治〜昭和の作家、1909〜1948) 『鉄面皮』
〈全文〉
もともと芸術家ってのは 厚顔無恥の気障(きざ)ったらしいもので、 漱石がいいとしをして 口髭(くちひげ)をひねりながら、 我輩は猫である、名前はまだ無い、 なんて真顔で書いているのだから、 他は推して知るべしだ。 所詮(しょせん)、まともではない。 賢者は、この道を避けて通る。 __ Link __ ついでながら徒然草(つれづれぐさ)に、 馬鹿の真似をする奴は馬鹿である。 気違いの真似だと言って 電柱によじのぼったりする奴は 気違いである、 聖人賢者の真似をして、 したり顔に腕組みなんかしている奴は、 やっぱり本当の聖人賢者である、 なんて、いやな事が書かれてあったが、 __ Link __ 浮気の真似をする奴は、やっぱり浮気、 奇妙に学者ぶる奴は、やっぱり本当の学者、 酒乱の真似をする奴は、まさしく本物の酒乱、 芸術家ぶる奴は、本当の芸術家、 大石良雄の酔狂振りも、あれは本物、 また、笑いながら厳粛の事を語れと教える哲人ニイチェ氏も、 笑いながら、とはなんだ、 そんな冗談めかしたりして物を言う奴は、 やっぱり、ふざけた奴なんだ、 という事になって、 鉄面皮を装う愚作者は、 なんの事はない、 そのとおり鉄面皮の愚作者なのだ。 まことに、身も蓋(ふた)も無い興覚(きょうざめ)た話で、 まるで赤はだかにされたような気持であるが、 けれども、これは、あなどるべからざる説である。 この説に就(つ)いては、 なお長年月をかけて考えてみたいと思っているが、 小説家というものは恥知らずの愚者だという事だけは、 考えるまでもなく、 まず決定的なものらしい。 __ Link __
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( 在原業平 )
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( 作者不詳 )
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( マヤ・アンジェロウ )
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( 下平作江 )
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( アンリ・バルビュス )
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夜の闇は「人間の友ではない」といわれるが、もっともである。
実際、夜の暗闇の中では、あらゆる困難や暗影が、朝の光(新たな日はいつも新しい力ではじまる)のなかで見るよりも、はるかにおも苦しく見えるものだ。
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( アリソン・ルソー )
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【 アントナン・アルトー 】
【 早乙女貢 】 【 モーリス・メーテルリンク 】 【 佐藤愛子 】 【 山下泰裕 】 【 田河水泡 】 【 保苅瑞穂 】 【 3代目 市川猿之助 】 【 高橋章子 】 【 福永武彦 】 【 渡辺京二 】 【 ラ・ブリュイエール 】 【 ヤン・ティンバーゲン 】 【 曽野綾子 】 【 ラングストン・ヒューズ 】 【 三好達治 】 【 世界を左右する 】
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