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[ 名言 ]
岩くれどもは
永劫の寡黙を諒(りょう)としているのではなく、
発語の術(すべ)を知らないのである。
岩に与える弓(=発語の術)があるならば、
彼は無限の矢数をもって、
来し方(こしかた)の永劫について
語り始めるであろう。

[ 出典 ]
中島らも[なかじま・らも]
(小説家・劇作家・エッセイスト、1952〜2004)
『永遠も半ばを過ぎて』

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[ 補足 ]
※諒(りょう)とする=もっともだ、たしかなことだとして納得・承知する。
よいとする。
諒承する。

※表題文の「(=発語の術)」は七瀬音弥による補足。
※来し方(こしかた、きしかた)=過ぎ去った時。
過去。

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言葉
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[ 全文・続き ]
〈全文〉
“私が語らなければ路傍の石が叫ぶであろう”
と聖書にあるごとく、
石には言葉があり、
言葉には霊がある。
岩くれどもは
永劫の寡黙を諒(りょう)としているのではなく、
発語の術(すべ)を知らないのである。
__ Link __

言葉とはつまり矢であり、
“話す”とはこの矢を弓で“放つ”ことである。
__ Link __

岩に与える弓があるならば、
彼は無限の矢数をもって、
来し方(こしかた)の永劫について
語り始めるであろう。
__ Link __

では岩ならぬ我々は、
言葉をもってして何を語っているであろうか。
今世紀にはいって以降、
誰も何も語ってはいない。
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