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お前たちには、ひとの悪いところばかり眼について、自分自身のおそろしさにまるで気がついていない。
太宰治[だざい・おさむ]
(明治〜昭和の作家、1909〜1948) 『お伽草子』 「舌切雀」 お爺さんがお婆さんに言ったセリフ ※原文では「気がついていないのだからな」で終わっている。
〈全文〉
おれをこんな無口な男にさせたのは、お前です。 夕食の時の世間話なんて、たいていは近所の人の品評じゃないか。 悪口じゃないか。 それも、れいの安易な気分本位で、やたらと人の陰口をきく。 __ Link __ おれはいままで、お前が人をほめたのを聞いた事がない。 おれだって、弱い心を持っている。 お前にまきこまれて、つい人の品評をしたくなる。 おれには、それがこわいのだ。 __ Link __ だから、もう誰とも口をきくまいと思った。 お前たちには、ひとの悪いところばかり眼について、自分自身のおそろしさにまるで気がついていない。 __ Link __
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