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[ 名言 ]
ふつうの女性は、眼がまたたくのを、瞼(まぶた)が動くと考えているらしいが、じつはあれは心が動く、そのあらわれである。

[ 出典 ]
水上勉[みなかみ・つとむ、みずかみ・つとむ]
(小説家、1919〜2004)
『女ごころ風景』

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ぱっちりとお人形のようにひらいた眸(ひとみ)はすばらしい。
けれど、それも持ち前のものをいうのであって、つけ睫毛をして、いくらごまかしてみても、それらしい眼にはなるけれど、本来の純情な瞬(まばた)きはない。
なぜならば、それは心がまたたかねばどうにもならないからである。
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ふつうの女性は、眼がまたたくのを、瞼(まぶた)が動くと考えているらしいが、じつはあれは心が動く、そのあらわれである。
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化粧は、心をごまかして、顔のおもてだけを粧(つくろ)うことで、その心を出そうと懸命になる行為である。
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それだとしたら、危険なつけ睫毛(まつげ)にうつつをぬかさないで、己れが心を純情にした方がよい。
己れが心をやさしくした方がよい。
さすれば、そのやさしい心が、純情な心が、たとえ貧しい眼もとでも、彼女独自の瞬きをあたえて、男からみると、かれんで美しいはずのものである。
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