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201.
人の心の奥底には
悪を喜ぶ気持ちも潜んでいるから、
作者はつい暴力的なものや色っぽいものに頼りたくなるのだろう。
だが、プロフェッショナルなら、
そうした手法を使わずに、
読者におもしろがってもらえるものを
つくらなければいけない。
……
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(
やなせたかし
)
(
Yanase Takashi
)
202.
【文芸創作基本ルール】(第6条)
サディストになること。
きみの小説の主人公が
いかにやさしくて罪のない人物でも、
その人物に恐ろしいことが起こるようにするのだ──
その状況に対して
主人公がどう振る舞うのか、
読者が見物できるように。
(
カート・ヴォネガット
)
(
Kurt Vonnegut
)
203.
「男の子」の世界の風に当たらなければ、
女は(あるいは女の子は)オトナになれないのだ。
いつまでも「少女倶楽部」や「少女の友」愛読者大会、
という風になるのだ。
(
田辺聖子
)
(
Tanabe Seiko
)
204.
表現重視の読書にとって
「誤読」とは良い言葉だ。
読者に架空の作者意図を詮索する自由はあるが、
それは何ら立証の根拠にならず、
作者の伝記的事実に、
読者個々の自由な誤読を妨げる権能はない。
(
諏訪哲史
)
(
Suwa Tetsushi
)
205.
小説の読み方の主流は今、
作者の伝記的事実や作品の時代背景を考慮の外へ置き、
あくまでテキストの上で交響する言葉の戯れを
「読者が主体となり創り出す」ことにある。
……
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(
諏訪哲史
)
(
Suwa Tetsushi
)
206.
すぐれた本ほど、
まるで読み手といっしょに成長したのではないかと思えるくらい、
読み手の受容度が高く、あるいは広くなった分だけ、
あたらしい顔でこたえてくれる。
(
須賀敦子
)
(
Suga Atsuko
)
207.
作品を書くとは、
読者を予想する事だ、
見物の拍手を期待して演技する事だ。
……
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(
小林秀雄
)
(
Kobayashi Hideo
)
208.
まことに情けないことだが、
作家は割符(わりふ)を書く。
他の片方の割符は
読者に想像してもらうしかないのである。
どんなすぐれた作品でも、
50%以上書かれたことはない。
……
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(
司馬遼太郎
)
(
Shiba Ryoutarou
)
209.
読書百遍(ひゃっぺん)という言葉は、
正確に表現する事が全く不可能な、
又それ故(ゆえ)に価値ある人間的な真実が、
工夫を凝らした言葉で書かれている書物
に関する言葉です。
そういう場合、
一遍(いっぺん)の読書とは
殆(ほとん)ど意味をなさぬ事でしょう。
そういう種類の書物がある。
文学上の著作は、
勿論(もちろん)、そういう種類のものだから、
読者の忍耐ある協力を希(ねが)っているのです。
……
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(
小林秀雄
)
(
Kobayashi Hideo
)
210.
読者も又
小説を読む事で、
自分の力で作家の創る処(ところ)に協力するのである。
この協力感の自覚こそ
読書のほんとうの楽しみであり、
こういう楽しみを得ようと努めて
読書の工夫は為すべきだと思う。
……
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(
小林秀雄
)
(
Kobayashi Hideo
)
211.
文字の数がどんなに増えようが、
僕等は文字をいちいち辿(たど)り、
判断し、納得し、批評さえし乍(なが)ら、
書物の語るところに従って、
自力で心の一世界を再現する。
読書の技術が高級になるにつれて、
書物は、読者を、
そういうはっきり眼の覚めた世界に連れて行く。
逆にいい書物は、
いつもそういう技術を、
読者に眼覚めさせる。
……
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(
小林秀雄
)
(
Kobayashi Hideo
)
212.
ある程度学問をした人、あるいは
名門といわれる学校を出た人で、
かつ本を読み続けている人は、
どこか温和なところがある。
これは本を読む人の特長といってもいいだろう。
(
渡部昇一
)
(
Watanabe Shouichi
)
213.
作品とは自分の生命の刻印ならば、
作者は、どうして作品の批判やら解説やらを希(ねが)う筈(はず)があろうか。
愛読者を求めているだけだ。
生命の刻印を愛してくれる人を
期待しているだけだと思います。
……
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(
小林秀雄
)
(
Kobayashi Hideo
)
214.
小説は、
いわば作り手と読み手が割符を出しあったときにのみ成立するもので、
しかも割符が一致することはまずなく、
だから作家はつねに不安でいるのである。
……
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(
司馬遼太郎
)
(
Shiba Ryoutarou
)
215.
偉大な書物は、
読者の心の成長にちょうど比例して成長してゆく。
シェイクスピアやダンテやゲーテのような作家の作品が偉大なものになったのは、
幾世代にもわたる過去の人びとが
この驚くべき事実に気づいたからである。
(
小泉八雲
)
(
Koizumo Yakumo
)
216.
(この歴史作品から)教訓を得る人は、それでよい。
しかし、歴史から学ぶことになど無関心で、ただそれを愉しむために読む人も、私にとって大切な読者であることに変わりはない。
いや、そのような人を満足させえてはじめて、真にためになる教訓を与えることも可能なのだと信じているくらいだ。
(
塩野七生
)
(
Shiono Nanami
)
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