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(夫婦というものは)どれほど愛し合っていても、
お互いの愛情は 煙でも吹き交わすようにたよりないものだ。 ところが子供を持つと、そうではない。 夫婦ははじめて 他人同士の寄せ集めではなくなって、 共通して愛情を深めて行ける場を持てる。 城山三郎[しろやま・さぶろう]
(昭和の小説家、経済小説の開拓者、1927〜2007) 『山茶花』 ※標題文の「(夫婦というものは)」は七瀬音弥による補足
〈全文〉
夫婦とはもともと他人同士。 どれほど愛し合っていても、 お互いの愛情は 煙でも吹き交わすようにたよりないものだ。 同じ方向に同じように深まって行くという保証はない。 __ Link __ ところが子供を持つと、そうではない。 夫婦ははじめて 他人同士の寄せ集めではなくなって、 共通して愛情を深めて行ける場を持てる。 __ Link __ だから男を愛する女が、子供を欲しがるのは当然のことだ。 女は子供を持ってはじめて 女として充実し安定する。 そうした女の愛を知っていて、 その幸福を与えないのは酷に過ぎやしないか。
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「他人の心はけっきょくのところ分からない」
という素朴な日常的実感は、 あくまでも部分的な不可知性にとどまっている。 相手を疑ってかかっているときでさえ、 その人の心の動きのいちいちすべてを疑うわけではない。
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