人は目に見えないものに心の支えを見つけたとき、たった一人でも立っていられる。
強く一人で立っていられる自分になれたときに、他人にも優しさとか豊かさを与える自分になる。 河瀬直美[かわせ・なおみ]
(映画監督、カンヌグランプリ受賞、1969〜) 映画『殯(もがり)の森』で、2007年カンヌ国際映画祭グランプリ受賞時の発言 補足は、NHK「クローズアップ現代」出演時の発言 【 河瀬直美の名言 】
《 優しさ 》
〈原文〉
目に見えないもの、誰かの想いとか、光とか風とかもそうだし、亡くなった人の面影もそうだし、私達はそういうふうなものに心の支えを見つけたときに、ちゃんとたったひとりでも立っていられる、そんな生き物だと思います。 みなさんは、心のよりどころとなるもの、「心の支え」を持っていますか?
それは、仕事でも、趣味でも、ライフワークでもかまいません。 心の中心に、柱のようなものが一本しっかりと立っているだけで、人はたった一人でも頑張って生きて行けるのです。 一方、「家族」や「友人」が心の支えだと言う人がよくいます。 確かに、「身近な人間」を心の支えにしたとき、頑張る力が無限に沸いてくるような感じがするものです。 しかし、もし「生きている人間」を心のよりどころにしてしまうと、失ったときになかなか立ち直れません。 「人間」はいつかは去るものであり、死ぬものだからです。 心の柱にするには、余りにも不確かな存在です。 もちろん、河瀬監督が言うように、「亡くなった人の面影」を心の支えにするのもいいでしょう。 なぜなら、死者は、永遠に心の中で生き続けるからです。 結局、目に見えないもの、無くならないものを「心の支え」にするのが、人生を強く生き抜く上での知恵だと言えるでしょう。 そして、一人で立つことができて、初めて人は、他人に対して優しさや愛を与えることができるのです。
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