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「女を救うため」などという男の偽善には、がまん出来ない。
好きなら、好きと、なぜ明朗に言えないのか。 太宰治[だざい・おさむ]
(明治〜昭和の作家、1909〜1948) 『ろまん燈籠』
〈全文〉
王子は、心からラプンツェルを可愛いと思っているのです。 仕様の無いほど好きなのです。 ただ、好きなのです。 それで、いいではありませんか。 純粋な愛情とは、そんなものです。 女性が、心の底で、こっそり求めているものも、そのような、ひたむきな正直な好意以外のものでは無いと思います。 __ Link __ 精神的な高い信頼だの、同じ宿命に殉じるだのと言っても、お互い、きらいだったら滅茶滅茶です。 なんにも、なりやしません。 何だか好きなところがあるからこそ、精神的だの、宿命だのという気障(きざ)な言葉も、本当らしく聞えて来るだけの話です。 そんな言葉は、互いの好意の氾濫(はんらん)を整理する為(ため)か、或いは、情熱の行いの反省、弁解の為に用いられているだけなのです。 わかい男女の恋愛に於(お)いて、そんな弁解ほど、胸くその悪いものはありません。 __ Link __ ことに、「女を救うため」などという男の偽善には、がまん出来ない。 好きなら、好きと、なぜ明朗に言えないのか。 __ Link __
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( 大江千里 )
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