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[ 名言 ]
僕をまた突落そうとする何かのはずみは
いつも僕のすぐ眼の前にチラついて見えた。
僕はそわそわして落着がなかった。
いつも誰かの顔色をうかがった。
いつも誰かから突落されそうな気がした。
突落されたくなかった。
堕(お)ちたくなかった。

[ 出典 ]
原民喜[はら・たみき]
(大正〜昭和の詩人、小説家、1905〜1951)
「鎮魂歌」
『群像』(昭和24年8月号)掲載
『夏の花・心願の国』に収載

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〈全文〉
子供のとき僕は何かのはずみで
すとんと真暗な底へ突落されている。
何かのはずみで
僕は全世界が僕の前から消え失せている。
ガタガタと僕の核心は青ざめて、
僕は真赤な号泣をつづける。
だが、誰も救ってはくれないのだ。
僕はつらかった。
僕は悲しかった、
死よりも堪えがたい時間だった。
僕は真暗な底から
自分で這(は)い上(あが)らねばならない。
僕は這い上った。
そして、もう堕(お)ちたくはなかった。

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だが、そこへ僕をまた突落そうとする何かのはずみは
いつも僕のすぐ眼の前にチラついて見えた。
僕はそわそわして落着がなかった。
いつも誰かの顔色をうかがった。
いつも誰かから突落されそうな気がした。
突落されたくなかった。
堕ちたくなかった。
__ Link __

僕は人の顔を人の顔ばかりをよく眺めた。
彼等は僕を受け容(い)れ、拒み、僕を隔てていた。
人間の顔面に張られている一枚の精巧複雑透明な硝子(ガラス)……あれは僕には僕なりにわかっていたつもりなのだが。
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