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かつて人々は、自分が属していて、保護をあてにできる(そして願わくば、実際に得られる)と信じるに足る想像的な全体性のなかに身をおいていたが、その全体性のなかで「社会」がしめていた場所に、いまはぽっかりと穴が開いている。

[ 出典 ]
ジグムント・バウマン
(20〜21世紀初頭の社会学者、ポーランド出身、1925〜2017)
『コミュニティ』(奥井智之訳)

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〈全文〉
かつて人々は、自分が属していて、保護をあてにできる(そして願わくば、実際に得られる)と信じるに足る想像的な全体性のなかに身をおいていたが、その全体性のなかで「社会」がしめていた場所に、いまはぽっかりと穴が開いている。
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「社会」という語は、かつては国家を表すものであった。
国家は、少なくとも社会的な不正のなかで最も非道なものについては、それを是正する強力な手段、ひいては強制の手段を備えていた。
このような国家は、今日視界から消え去りつつある。
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いまや国家が、礼儀正しい依頼や懇願に応じて、生活の不安を和らげるために具体的に何かをしてくれると期待することは、現実的ではない。
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それは、雨乞いの踊りで旱魃(かんばつ)が終わるのを期待するのと似たようなものである。


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