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ありふれた三ツ葉のクローヴァーのなかに、ないかもしれない四ツ葉のクローヴァーを見つける無償の行為こそ、幸運を意味する四ツ葉のクローヴァーという言葉の情感をもたらしてきた。
葉が四つあるクローヴァーがそこにあれば、それが四ツ葉のクローヴァーなのではなかった。

[ 出典 ]
長田弘[おさだ・ひろし]
(詩人、1939〜2015)
「四ツ葉のクローヴァー」と題する文章

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〈全文〉
路上の市で、鉢植えの四ツ葉のクローヴァーを売っていた。
確かに四ツ葉のクローヴァーだ。
どれもまちがいなく四ツ葉のクローヴァーだ。
しかし、それを四ツ葉のクローヴァーというには、何かが欠けていた。
四ツ葉のクローヴァーを見つけたという、気もちの昂りがなかった。

なぜか。
めずらしい四ツ葉のクローヴァーがそこにあっても、ごくありふれた三ツ葉のクローヴァーが、そこにはなかったからだ。

群生する三ツ葉のクローヴァーを指でかきわけて、四ツ葉のクローヴァーを探して、幸運を探す。
だが、見つけられない。
探しあぐねて、クローヴァーのうえに寝そべって、それでもあきらめないで、目と指を緊張させて、なお探しつづけて、ようやく探しだす。

ありふれた三ツ葉のクローヴァーのなかに、ないかもしれない四ツ葉のクローヴァーを見つける無償の行為こそ、幸運を意味する四ツ葉のクローヴァーという言葉の情感をもたらしてきた。
葉が四つあるクローヴァーがそこにあれば、それが四ツ葉のクローヴァーなのではなかった。
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もちろん三ツ葉のクローヴァーは売り物にならない。
めずらしくないし、たいした草でもない。
けれども、そのめずらしくもなく たいした草でもない、ごくあたりまえの三ツ葉のクローヴァーがなければ、じつは四ツ葉のクローヴァーなど何の価値もないのだ。
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価値は、三ツ葉のクローヴァーがもたらすのであって、四ツ葉のクローヴァーにもともとそなわってあるものではない。
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ありふれた真実がないがしろにされて、何事につけ、価値というものがもっぱら「例外」にもとめられるとすれば、それはひとの心根の貧しさを明かしこそすれ、ひとの気もちをゆたかにすることはない。
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いつでもまっさきに見落とされるもののうちにあるのは、どんなときも平凡な真実だ。
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