|
浮世は夢の如しとは能(よ)く言ったものだと
熟々(つくつく)思う。 成程(なるほど)人の一生は夢で、 而(しか)も夢中に夢とは思わない、 覚めて後(のち)其(それ)と気が附く。 気が附いた時には、 夢はもう我を去って、 千里万里(せんりばんり)を相隔てている。 もう如何(どう)する事も出来ぬ。 二葉亭四迷[ふたばてい・しめい]
(明治の小説家、1864〜1909) 「平凡」 『平凡・私は懐疑派だ』に収載
《 日本の文豪 》
〈全文〉
こうなって見ると、 浮世は夢の如しとは能(よ)く言ったものだと 熟々(つくつく)思う。 成程(なるほど)人の一生は夢で、 而(しか)も夢中に夢とは思わない、 覚めて後(のち)其(それ)と気が附く。 気が附いた時には、 夢はもう我を去って、 千里万里(せんりばんり)を相隔てている。 もう如何(どう)する事も出来ぬ。 __ Link __ もう十年早く気が附いたらとは 誰(たれ)しも思う所だろうが、 皆判で捺(お)したように、 十年後れて気が附く。 人生は斯(こ)うしたものだから、 今私共を嗤(わら)う青年達も、 軈(やが)ては矢張(やっぱ)り同じ様に、 後(のち)の青年達に嗤(わら)われて、 残念がって穴に入る事だろうと思うと、 私は何となく人間というものが、 果敢(はか)ないような、 味気ないような、 妙な気がして、 泣きたくなる…… __ Link __
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
9.
10.
11.
12.
( 藤田憲一 )
13.
( ドリス・レッシング )
14.
15.
( バヌバッタ・アチャリヤ )
16.
17.
18.
19.
20.
21.
22.
( 作者不詳 )
23.
24.
25.
26.
27.
28.
29.
30.
31.
32.
33.
34.
35.
36.
【 テッド・ネルソン 】
【 坂本幸雄 】 【 群ようこ 】 【 石坂一義 】 【 フィリップ・ロス 】 【 三枝成彰 】 【 『旧約聖書』 】 【 ミハイル・レールモントフ 】 【 フォキュリデス 】 【 丸山眞男〔丸山真男〕 】 【 ルチアーノ・デ・クレシェンツォ 】 【 アドルフ・ヒトラー 】 【 早川徳次 】 【 水野成夫 】 【 『十訓抄』 】 【 ゴードン・B・ヒンクレー 】 【 安楽 】
【 憂えない 】 【 長期の拒絶 】 【 生活意欲 】 【 人を知る近道 】 【 志は高く 】 【 静かに待てない 】 【 綱が届く 】 【 怖くなる 】 【 感謝を伝えない 】 【 今日を味わって生きる 】 【 会社が自分に合わない 】 【 大きな音を立てる 】 【 部屋をノック 】 【 就職における間違い 】 【 過去の勉強 】
|