我は張り詰めたる氷を愛す。
斯(かか)る切なき思ひを愛す。 我はその虹のごとく輝けるを見たり。 斯る花にあらざる花を愛す。 室生犀星[むろう・さいせい]
(明治〜昭和の詩人・小説家、1889〜1962) 詩集『鶴』の巻頭詩 詩「切なき思ひぞ知る」 【 室生犀星の名言 】
※斯かる(かかる)=このような、こういう。
〈全文〉
我は張り詰めたる氷を愛す。 斯(かか)る切なき思ひを愛す。 我はその虹のごとく輝けるを見たり。 斯る花にあらざる花を愛す。 __ Link __ 我は氷の奥にあるものに同感す、 その剣のごときものの中にある熱情を感ず、 __ Link __ 我はつねに狭小なる人生に住めり、 その人生の荒涼の中に呻吟(しんぎん)せり、 さればこそ張り詰めたる氷を愛す。 斯(かか)る切なき思ひを愛す。 __ Link __
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