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[ 名言 ]
指導とは根気と見つけたり。
結局、人を指導するということは、その相手とじっくり向かい合って、根くらべをすることなのだ。

[ 出典 ]
広岡達朗[ひろおか・たつろう]
(元プロ野球選手・元プロ野球監督、野球解説者、1932〜)

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根気
広岡達朗の名言

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[ 解説 ]
人を指導する立場の人は、「指導の成果はすぐに出るものだ」などと、決して期待しないほうがよいでしょう。
たいてい指導する人は、「すぐに成果を出さねば」と、急いだり焦ったりするものです。
しかし、その性急さや焦りが、相手の自信を失わせたり、信頼関係を損なったりするのです。
人を指導する際には、「時間をかけて」「根気強く」「辛抱強く」「じっくり」取り組むことが大事なのです。


■面白いことに、人によって指導の成果が出るまでの時間に大きな差があります。
最初からすぐに成果が出る人もいれば、だいぶ時間がたってからようやく伸び始める人もいます。
中には、突然急激な伸びを示す人もいます。
きっと何かコツをつかんだのでしょう。
いずれにせよ、「指導の成果が出るには、それなりの時間がかかるもの」と覚悟しましょう。


■もちろん、指導方法をいろいろと工夫することも大事です。
指導方法が、指導される人の性格やレベルに合っていない可能性もあります。
指導方法を少し変えただけで、成果に大きな差が出ることがある、ということも事実です。
ある意味、そこが指導する人の腕の見せ所でもあります。


■「指導方法を変えたのに成果に変化がない」と不安になって焦って、すぐに別の指導方法に切り変える人がよくいます。
でもそれは、成果が出始めていたものを中断することになり、かえって逆効果です。
指導方法を変える場合は、本当に成果が出ないのか、まだ成果が出てないだけなのかを、注意深く見極める必要があります。


■また、指導方法を変えたら成果がすぐに現れたとしたら、むしろそれまでの指導方法が全く的外れだったということです。
「画期的な指導方法」を考え出した自分をほめるのではなく、これまで「ひどい指導方法」を続けてきた自分を反省するのにとどめましょう。
一つの成功体験に味をしめて、「指導方法」をたくさん開発して、洋服を着せ替えるがごとく、次々と試してみるのは、まさに愚の骨頂というものです。
動物実験のごとく次々に方法を試すわけにはいきません。
一つの指導方法を採用する際には、熟慮を重ねて選ぶ必要があります。


■人を指導する場合、せっかちな人、短気な人は、人を指導するのには向かない性格だと言えるでしょう。
指導する人は、気長で辛抱強い性格であることが求められます。
もし自分は指導するのには向かない性格だと思うのなら、自分自身、「気長」「辛抱強さ」「粘り強さ」を鍛える訓練をする必要があります。


■よく、「根気強さを鍛えるには座禅がいい」と言われますが、私はあまりお勧めしません。
何もしないで長時間いるのはただの苦痛であり、目に見えるご褒美がないので、多くの人は長続きしません。
「自分自身を指導」する場合にも、やはり、目に見えるご褒美が必要なのです。


■私がお勧めする根気鍛錬方法の一つは、「釣り」です。
一日中ずっと浮きを見つめて、浮きが沈むのを見つめているのは、辛抱強さを鍛えるのには最適です。
船釣りで、魚がかかるのをひたすら待つのも同様です。
結局、一日かかって一匹も釣れないこともあります。
そういう「ボウズ」の日は徒労だったと思うかも知れません。
しかし、別に日には数匹釣れることもあります。
稀(まれ)に大物がかかったり、何十匹と大漁の場合もあります。
いずれにせよ、辛抱強く待った後に釣れた時の喜び・感激は格別です。
それは、指導する人が辛抱強く待った結果、「指導された人が大きく成長した姿」を目にしたときに感じる喜びに、よく似ています。


■根気を鍛錬するには、釣りでなくても、長い辛抱を必要とするものなら、何でもよいでしょう。
登山では、山頂にたどり着いたときの雄大な眺めがご褒美です。
マラソンなら、ゴールにたどり着いた時の達成感でしょうか。
とにかく大切なのは、長い辛抱の後に「ご褒美」が待っていることです。
人は「ご褒美」があるからこそ、苦しいこと、耐えがたいことにも頑張れるのです。
(ながれおとや)


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