食い物に淡泊なれ。
太宰治[だざい・おさむ]
(明治〜昭和の作家、1909〜1948) 『津軽』 【 太宰治の名言 】
食べ物に執着する人は傍目に見てみっともない。
だがまた、人は食べ物に淡白でいることは難しい。 だからこそなおさら、食べ物には淡白であるよう心がけなければいけない。 ※同作品の別の箇所で「とにかく食べ物の哀訴歎願(たんがん)は、みっともない」とも述べている。
〈全文〉
こんど津軽へ出掛けるに当たって、心にきめた事が一つあった。 それは、食い物に淡泊なれ、という事であった。 __ Link __ 私は別に聖者でもなし、こんな事を言うのは甚(はなは)だてれくさいのであるが、東京の人は、どうも食い物をほしがりすぎる。 私は自身古くさい人間のせいか、武士は食わねど高楊枝などという、ちよっとやけくそにも似たあの馬鹿々々しい痩せ我慢の姿を滑稽に思いながらも愛しているのである。 何もことさらに楊枝まで使ってみせなくてもよさそうに思われるのだが、そこが男の意地である。 男の意地というものは、とかく滑稽な形であらわれがちのものである。 __ Link __
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