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寺山修司の名言
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［ テーマ別今日の名言 ］
《 星座別名言と運勢 》
《 血液型別名言と運勢 》
301.
時がくると、私の人生にはピリオドが打たれる。
だが、父親になれた男の死はピリオドではなく、コンマなのだ。
コンマは休止符であり、また次のセンテンスへとひきつがれてゆくことになる。
302.
空想の生活のなかにたたみこんで居直るのが、実人生における「演技」というものである。
303.
「家」は、その本質としては、土地への反喩(はんゆ)である。
土地は不滅だが、家族は交換可能だからである。
だが、土地と人とを結びつける呪的因果律として「家」をとらえようとして、前近代の悲劇はくりかえされてきた。
304.
人生はただ一問の質問に
すぎぬと書けば二月のかもめ
305.
苦しみは変わらない、変わるのは希望だけだ。
306.
死は、いつでも生のなかにつつまれていて、ニシンと数の子のように、同じ時をかぞえているのである。
死の恐怖は、同時に生の恐怖でもある。
この二重奏は、ときには死の実存をかなでるラヴィアン・ローズなのである。
307.
ふるさとと、そこを「出た」人間との関係は、どっちに転んでも裏切者になるほかないのだ。
308.
「ふるさと」などは、所詮(しょせん)は家出少年の定期入れの中の一枚の風景写真に過ぎないのさ。
それは、絶えず飢餓の想像力によって補完されているからこそ、充(み)ち足りた緑色をしているのだ。
309.
人はだれでも（ふるさとに）「帰りたい」と思いながら、しかし「帰る」ということが想像力のなかの出来事でしかないことを知るようになるのである。
310.
自分の未来が自分の肉体の中にしかない。
311.
歌謡曲のなによりの特質は「合唱できない歌」だということなのである。
312.
逃げつづける者の故郷は、この世の果てのどこまで行っても、存在しないものなのだ。
313.
「書かれた詩句」以上に「消された詩句」の方が（もし、消されずに残っていたら）人の心をうったかも知れない、と思うことがある。
314.
賭博精神は、どちらかといえば無頼(ぶらい)のものではなくて、熱い達観者の思想なのである。
315.
詩人にとって、言葉は凶器になることも出来る。
私は言葉をジャックナイフのようにひらめかせて、人の胸の中をぐさりと一突きするくらいは朝めし前でなければならないな、と思った。
316.
夏……古典の死
317.
旅行であれ、出立(しゅったつ)であれ、行く先のある者は、幸福である。
318.
人生は汽車に似ているな。
旅をしながら年とって古くなってゆく。
自由になりたいな、って思うが、レールの外に出れる訳じゃない。
319.
歴史（＝過去）は、「やさしく、美しいものばかり」とは、かぎらないのだ。
320.
定住することは、不滅を信じることだ。
私は、そんなものを信じない。
できるならば、私の死んだあとでも、墓は汽車の連結器の中につくってもらいたいと、思っている位(くらい)である。
321.
落書きというのは、堕胎された言語ではないだろうか？
それは、誰に祝福されることもなく、書物世界における「家なき子」として、ときには永遠に「読まれる」ことなしに消失してしまうかもしれない運命を負っているのである。
322.
もともと言葉というのは日常的な倫理の立場ではすべて嘘であって、簡単に言えば「二度目の現実」にすぎないと思うんです。
323.
成ろう成ろうとしながら、まだ言語になっていないものだけが、ぼくを変える。
言うことは経験だが、言葉はただの軌跡！
324.
チルチルとミチルにとっての幸福は、わが家の鳥籠の中にいた青い鳥などではなく、あの長い遍歴行(へんれきこう)そのものであった。
325.
人間は死ぬべきときに死なず、ただその時が来たら死ぬもんだ。
326.
人がもし、観ることだけによって世界とかかわろうとしたら、それは「人目につかぬ片隅の壁穴」になることでしかなく、それは自己疎外にほかならないでしょう。
327.
重要なことは「賭博」は、時間的な人生の燃焼であって、実業ではないということである。
328.
言語は何と不自由なものだろう。
それには全体重ものらなければ、目のさめるような速度もない。
目に見えない「事物の代用品」でありながら、ただの道具であるにしてはあまりにも長い歴史を持ちすぎてしまった。
329.
あたしの右の翼はあたしの苦しみです。
あたしの左の翼は革命です。
330.
麦の芽に日当たるごとく父が欲し

331.
時には母のない子のように
ひとりで旅に出てみたい
332.
「自由の最後の敵は何だと思うね？」
「やっぱり、銃だろう」
「ちがう」
「では何だ？」
「記憶と記録である」
333.
人生には、答えは無数にある。
しかし
質問はたった一度しか出来ない。
334.
人間の体ってのは「言葉の容(い)れ物」にすぎないし、出し入れ自由である。
335.
芸術的な権力というものが、もし存在するならばそれは政治的抑圧から、人たちを解放し、自由にしようとする営為(えいい)の中にある。
336.
猫……ヒゲのある女の子
猫……闇夜の宝石詐欺師
猫……謎解きしない名探偵
猫……この世でいちばん小さな月を二つ持っている
337.
猫……青ひげ公の八人目の妻
猫……財産のない快楽主義者
猫……毛深い怠け娼婦
猫……このスパイは　よく舐(な)める
338.
人々はあらかじめ万物を記憶して生まれてくる。
思い出というのは、その中の何を覚えつづけていたか、ということではなく、何を忘却してしまったか、ということによって決定される。
339.
ブリュメールの十八日は言語だ！
連合赤軍も言語だ！
そして俺自身の死だって言語化されてしまうのを拒むことが出来ないのだよ！
ああ、喜劇！
340.
人は一生のうちで一度だけ、誰でも詩人になるものである。
だが、やがて「歌のわかれ」をして詩を捨てる。
そして、詩を捨て損(そこ)なったものだけがとりのこされて詩人のままで年老いてゆくのである。

341.
自殺が美しいとすれば、それは虚構であり、偶然的だからである。
ぎりぎり追いつめられた中小企業の経営者の倒産による自殺は、自殺のように見えるが実は〈他殺〉である。
342.
この広い空の下のどこかに、私の分身が一人いて、私とのめぐり逢いを求めながら旅しているのではなかろうか？
343.
「幸福」を書物によってとらえようとすれば、書物の歴史性が邪魔をするというのが、私の考えだ。
344.
何かを「あらわす」ために用いられる言語は、何かを「かくす」ためにも用いられる。
345.
夢の中で、夢を見たわ。
「夢だと思っていたことが現実で、現実だと思っていたことが夢だった」という夢なの。
346.
もしかしたら、私は憎むほど故郷を愛していたのかも知れない。
347.
思い出は、個人的な蓄積であるが、ときには疎外された人間たちの失地回復の〈緑の土地〉になることもあり得るのである。
348.
賭博が、しばしば人の生き甲斐となりうるのは、それがじぶんの運命をもっとも短時間に「知る」方便になるからである。
349.
理想と言った……だが、わたしがわたしとして生き、わたしとして死ぬことにまさる理想があるものだろうか？
それとも、政治の理想は、所詮(しょせん)は「いかに死ぬべきか」にいたる道にすぎないのか？
350.
政治は主に、人たちに何かを禁じる単位である。
政治的な権力は、何々を「してはいけない」ということを私たちに要求する。
それに対して、映画や演劇、詩、そうしたものの総体としての芸術は、人たちに何かを許す単位にかわりつつある。

351.
男は生涯に一回だけ勝負すればいいのだ。
352.
どんな詩も、閉じられた書物の中では死んでいる。
353.
親の愛情、とりわけ母親の愛情というものはいつもかなしい。
いつもかなしいというのは、それがつねに「片恋(かたおもい)」だからです。
354.
劇場とは、施設や建物のことではなく、劇的出会いが生成されるための「場」のイデオロギーのことである。
どんな場所でも劇場になることができるし、どんな劇場でも劇が生成されない限りは、日常的な風景の一部にすぎなくなる。
355.
劇場があって劇が演じられるのではない。
劇が演じられると、劇場になるのである。
356.
愛したり恨んだりするには他人が必要だ……だが、ぼくはまだ他人らしい他人に逢(あ)ったことがない……
357.
どうか、あなたの人生で、あたしの（人生の）台本をよごさないで。
358.
子守唄は、無名の女たちの思想のうたです。
川より深くながれる血のうたなのです。
それはじぶんのための歌であり、決して子どものための歌ではないでしょう。
359.
人間の完成というのは彼の死によってしか達成されない。
360.
（映画の）スクリーンは、並んで坐った者同士が「同じ夢を見る」ための限られたスペースであり、映画は夢の入口に誘う眠りのようなものである。

361.
少なくとも、不可視の世界にしか白鯨など存在しないのだ。
362.
たまには怒ったら、どうですか？
怒ると、人間らしくなる。
少なくとも怒れるってことは植物じゃできないことだからね。
363.
父は反復であり、歴史である。
364.
権力は必然的だが、暴力は偶然的である。
365.
海には失われた声がある
366.
人は誰でも他人の黒衣(くろこ)。
操ってると思っても、操られている。
阿呆(あほ)のからくり糸車
367.
市民権を与えられないスラング、やくざたちの隠語は、言葉のアウトローである。
368.
近代劇の観客にとって俳優は、代理の人間（stand for）である。
俳優は観客に代わって、もう一つの現実を具現し、観客の死を死ぬのである。
369.
ぼくはどこへも行けなかった……あの忌(い)まわしい家族たちから逃れてわが家の他人になるための放浪に出るには何かが欠けていた、そう、肉親への憎しみが、欠けていたのだ。
370.
死んだ人ほど家庭的だ。
決してどこにも行くことがない。

371.
本当の詩人というものは「幻を見る人」ではなくて「幻を作る人」である。
372.
私は自分だけのものではなくなってゆく死について想うようになった。
もしかしたら、私の死は私に手渡される前には、ほかのだれかがあずかっているのかも知れない。
373.
マッチ擦(す)るつかのま海に霧ふかし
身捨つるほどの祖国はありや
374.
私自身の存在は、いわば一つの質問であり、世界全体がその答(こたえ)なのではないか。
375.
自殺は、あくまでも人生を虚構化する儀式であり、ドラマツルギーに支えられた祭りであり、自己表現であり、そして聖なる一回性であり、快楽である。
376.
他者の死は、かならず思い出に変わる。
思い出に変わらないのは、自分の死だけである。
377.
もし、誰かが私に、
「祖国か友情か、どっちかを裏切らなければいけないとしたら、どっちを裏切るか？」
と質問したら、私はためらわずに、
「祖国を裏切る」と答えるだろう。
一国の革命は、百国の友情を犠牲にしてきずかれるものではないのだから。
378.
「詩」もことばだと思ってはいるが、やっぱりことばではないのではないか、と思うことがある。
詩はことばに毒されてはいるけれども、素朴に言えば、イマジネーションの世界なのである。
379.
書物は、価値そのものでなく価値の代替物であるという点で、貨幣に似ている。
380.
引き算がさみしいのは、だんだん数が減ってゆくことだよ。

381.
歴史なんて所詮(しょせん)は作詞化された世界にすぎないのだ！
382.
いい死体の役者は、百ぺん死ねる役者のことだ。
たった一度だけじゃ、演技と言えない。
383.
（映画）俳優がほんとに死んじゃいけないよなあ。
俳優は映画の中で死ぬべきですよ。
ストーリーの中で死ねばいいんだ。
そしてまたべつの映画の中で生きかえる。
384.
私たちは、書物をまえに孤立し、意味を分有し、内面化し、代理現実（記述された現実）とかかわることによって、身体的現実から遠ざかってゆくことになってしまう、ということをしばしば忘れている。
385.
家庭は幸福で、経済的にも充足しており、天気も晴朗で、小鳥もさえずっている。
何一つ不自由がないのに、突然死ぬ気になる──という、事物の充足や価値の代替(だいたい)では避けられない不条理な死、というのが自殺なのであり、その意味で三島由紀夫は、もっとも見事に自殺を遂げたことになる。
386.
私は必ずしも「競馬は人生の比喩だ」とは思っていない。
その逆に「人生が競馬の比喩だ」と思っているのである。
この二つの警句はよく似ているが、まるでちがう。
前者の主体はレースにあり、後者の主体は私たちにあるからである。
387.
出会いに期待する心とは、いわば幸福をさがす心のことなのだ。
388.
鳥人の理想はあくまでも「飛ぶ」ことにあるのであって、飛ぶことによって何かを為(な)すことにあるのではない。
389.
書物のなかに海がある
心はいつも航海をゆるされる
390.
男はだれでも死について想っている。
男にとって「いかに死ぬべきか」という問いは、「いかに生くべきか」という問いよりも、はるかに美的にひびくのだ。

391.
カフカは『兄弟殺し』の中で「なぜ人間は血の詰まったただの袋ではないのか」と問いかけているが、その答えは簡単だ。
人間は「話しかける袋」だからである。
「血の詰まったただの袋」は、決して叫んだり話しかけたりはできないのである。
392.
青い鳥っていうのはみんなに見えるとは限らないんだ。
人によって見えたり見えなかったりする、不思議な鳥さ。
世の中には、そんなふうに、人によって見えたり見えなかったりするものがよくあるんだよ。
393.
女は何時(いつ)でも、家を作る。
巣を作るのも、ねぐらをあたためるのも女、子守唄をうたうのも、あたたかいスープを作るのも女である。
394.
自己の死は数えることができない。
それを見ることも、手でふれることもできない。
だが他者の死は読める。
数えられる。
手でさわることもできる。
それは再現さえ可能の世界なのだ。
395.
文字はよみかえしがきくが、ことばはそれがきかない。
第一、ことばはアクセントやイントネーションがあるが、文字は表現主義やダダの詩人でもないかぎり、その大小や濃淡さえないありさまである。
396.
政治と言うものは、滅私への道を見出すことだ。
397.
美しいものは殺さなきゃいけないんだ。
どんなものだって、一生のうちで一度は美しくなる。
そのかたちを、そのままでとどめなきゃあ。
398.
ことばだって所詮は一つのかくれ家ではないのかね？
399.
望郷の歌をうたうことができるのは、故郷を捨てた者だけである。
そして、母情をうたうこともまた、同じではないでしょうか？
400.
詩は経験である。
それはたとえば煙草(たばこ)をのんだり、しゃべったり、金銭登録器をがちゃがちゃ鳴らしたり、頭にこってりとチックをぬったりするのと変わるところはない。

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