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心協(あ)う同志(どし)安らかに団坐(まどい)して食う甘(うま)さ。
幸田露伴[こうだ・ろはん]
(明治〜昭和の小説家、1867〜1947) 短編小説『風流仏』(ふうりゅうぶつ) ※「団居・円居」(まどい)=@人々がまるく並び座ること。
車座?(くるまざ)?になること。 A一箇所に集まり会すること(集まり合うこと)。 特に親しい者同士が集まって楽しむこと。 団欒?(だんらん)。 〈原文全文〉
珠運(しゅうん)も思い掛(がけ)なく色々の始末に七日余り逗留(とうりゅう)して、馴染(なじむ)につけ亭主頼もしく、お辰(たつ)可愛(かわゆ)く、囲炉裏(いろり)の傍(はた)に極楽国、迦陵頻伽(かりょうびんが)の笑声睦(むつま)じければ客あしらいされざるも却(かえっ)て気楽に、鯛は無(なく)とも玉味噌(たまみそ)の豆腐汁、心協(あ)う同志(どし)安らかに団坐(まどい)して食う甘(うま)さ、或(あるい)は山茶(やまちゃ)も一時(いっとき)の出花(でばな)に、長き夜の徒然(つれづれ)を慰めて囲い栗(ぐり)の、皮剥(むい)てやる一顆(いっか)のなさけ、嬉気(うれしげ)に賞翫(しょうがん)しながら彼も剥(む)きたるを我に呉(く)るゝおかしさ。 実(げ)に山里も人情の暖(あたたか)さありてこそ住(すめ)ば都に劣らざれ。
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