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いろんなことを知らんことが、一番の知恵だな。
本田宗一郎[ほんだ・そういちろう]
(本田技研工業創業者、1906〜1991) 《 起業家・創業者 》
色々なことをたくさん知っていると、つい自慢したくなるものです。
実際、世の中には、自分の知識を自慢したくて、知識をひけらかす人が大勢います。 また、自分も自慢できるようになりたいと、新聞や本や雑誌を読み漁って、知識を詰め込もうとする人も大勢います。 昔から、「博学」「物知り博士」「雑学博士」という言葉がありましたが、今ほど知識がもてはやされる時代は無かったでしょう。 ■例えば、19時〜22時のテレビ番組の約3割はクイズ番組で占められています。 クイズ番組は安定して視聴率が確保できるので、絶対に無くなることはありません。 つまり、それだけ見る人が多いということです。 ■クイズ番組であれば大人でも勉強にもなるし、子供にも安心して見せることができます。 また、子供の方も、クイズ番組は勉強にもなるからと言って、正々堂々テレビを見ることができます。 また最近では、「子供の勉強」になることを強く意識して、国語・算数・理科・社会といった、学校の科目に合わせて構成されたクイズ番組も増えて来ています。 ■クイズ番組に出場するのは、物知りと自他共に認める芸能人たち、珍回答で場を盛り上げる役の芸能人たち、物知りではないけど売り出し中の芸能人、または売り出そうとしている若手芸能人などです。 バラエティでのしゃべりが苦手な芸能人でも、クイズ番組ならセリフが多くないから何とか「さま」になります。 そういう意味で、クイズ番組は出場者を選びません。 番組制作者側にとって、クイズ番組ほど便利で、作りやすいジャンルはないのです。 ■先日たまたま見たクイズ番組では、事前にそのジャンルの本を読ませて勉強させ、本番で答えられるかどうかを試すスタイルだったのには、さすがに驚きました。 ここまで来ると、「クイズ」ではなく、まさしく「お勉強」です。 そこまで、番組の「裏」を見せてしまっても番組が成り立つのが、「クイズ番組」の不思議なところです。 視聴者に、芸能人の必死な勉強の姿を見せることで、「自分も勉強しなくちゃ」と思わせる。 そういう一種の「教育効果」もあるのです。 ■いずれにせよ、放送する側も見る側も、「勉強になる」「知識が増える」という「錦の旗」を掲げることができるのが、クイズ番組隆盛の最大の理由なのです。 ■「知識」が人のイメージに与える効果は絶大です。 普段はオチャラけたイメージのお笑い芸人が、一生懸命雑学を勉強してきて、番組中でそれとなく話して見せると、途端に「ちょっと知的な芸人」のように思えてくるものです。 そうすると、他のクイズ番組などからも声がかかるようになる。 それを目の当たりにした他の芸人も、あとに続こうとする。 こうして「物知り芸人」「物知り芸能人」がゾロゾロ生まれてくるのです。 ■しかし、このように必死に「知識」を詰め込んでも、得ることができないものがあります。 それは「アイデア」「発想」の力です。 確かに「知識」が増えれば、「引き出し」は増えるかもしれません。 しかし、それは所詮、既存の「知識」でしかありません。 革新的な「アイデア」や「発想」は、「知識」とは別のところから生まれてくるものなのです。 ■そして、時には「知識」は「アイデア」や「発想」の邪魔をします。 「知識」があるために、それが先入観となって、最初から「ダメ」だとか「ムリ」だと決め付けてしまうからです。 例えば、会社の商品開発の現場で、むしろ経験の少ない若手が斬新なアイデアを生むことが多いのは、その一例です。 また、新しく業界に参入した企業の方が、斬新なビジネス展開をする場合が多いのも、「業界の常識」という「先入観」にとらわれていないからです。 ■「ものを知らない人」より「ものを知っている人」の方が、よい知恵を出すとは限りません。 それどころか、ものを知らない方が自由な発想をできる場合が、実際には多いのです。 「知識」がぎっしり詰め込まれて、頭の風通しが悪くなった人達だけでは、「斬新なアイデア」はなかなか生まれません。 そんな時こそ、「風通しのいい、すき間だらけの頭」を持った人の出番なのです。 また、そういう人を積極的に登用していける人こそ、「最大の知恵者」と言えるのかもしれません。
(七瀬音弥:ななせおとや)
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( 高橋将夫 )
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( 映画『世界最速のインディアン』 )
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( 作者不詳 )
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( ロイヤル・タイラー )
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【 倉橋由美子 】
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