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車谷長吉の名言
1.
休みの日は大抵は精根尽きて、
終日、アパートで死人のように眠っていた。
併(しか)しこの死人はまた
背広・靴を身に着けて、
「いましばらく生きるために。」
会社へ出て行くのだった。
2.
自尊心、虚栄心、劣等感、
この三つは人生の癌である。
3.
人間の三悪。
高い自尊心（プライド）、強い虚栄心、深い劣等感。
4.
貧しい人はお金をもらうと、
素直に嬉しいんですよ。
5.
人生を棒に振る。
これが私の一つの理想だった。
6.
いくら私小説と言うても、やはり文学における「嘘」は必要なのである。
7.
人間の偉さ（崇高さ）には、どんなに偉い人であっても限りがあるが、人間の愚かさは底なし沼である。
8.
古来、すべての青年は哲学を愛した。
併(しか)し、その後の人生において、哲学を実践した青年はだれもいなかった。
わたしはこれが愚論であることを願っている。
9.
文学の本質が悪を書くものである以上、書くことはそれ自体が悪であり、あらゆる文学者はある意味で犯罪者、言うなれば人非人(にんぴにん)である。
10.
写真に写った人の姿は過去の影であり、たとえその人がいまもまだ生きているとしても、すでに死者となったその人である。
11.
人間の善には、どんなに善人でも限りがあり、併(しか)し人間の悪ぶりは底なしである。
12.
ある程度の銭があれば、
それで心にゆとりが持てるかと言うと、
かならずしもそうではなく、
こせこせ、せかせか、
小狡(こずる)く立ち回る人は立ち回るし、
ある程度とは言うても、
それがどの程度であるかは、
人まちまちである。
13.
本を読むことには、何か辛いものがある。
よい本はよい本なりに、悪本は悪本なりに。
多分、言葉の毒に中毒するのだろう。
いや、言葉だけではなく、絵や写真にも毒はあり、それにも（自分という）存在の一番深いところを刺し貫かれることがある。
14.
私小説を書くことは罪深い振る舞いである。
悪である。
業である。
（中略）私のように毒虫のごとき私小説を書いていると、まず一家眷属、すなわち血族の者たちに忌み嫌われている。
15.
私小説は自己曝露の文学である。
この場合、自己曝露とは
自己の周縁の他人曝露をもふくむ。
16.
私は乳繰り合うた上で別れた女には、つねに罪悪感を持って来た。
併(しか)し肉体関係を持たずに別れた場合は、罪悪感など一切なく、言わば純愛の気持をいまでも色濃く持っている。
17.
地球温暖化、資源枯渇、環境破壊、原子力発電の核燃料のごみは溢(あふ)れ、それでもなお人は「空騒ぎ」を続けるであろう。
その時、私はもうこの世にいない。
ざまァ見やがれ。
18.
貧乏性も欲深も、
ともにこれでいいということを知らず、
何とも得体の知れない銭金からの強迫観念に取り憑かれて、
まだ足りない、まだ足りない、
と底なし沼の強迫観念をうめき続ける。
19.
作家は毒蛇になって、
人に咬みつかなければいけない。
咬みつかれた方は悲鳴を上げるだろう。
併(しか)しその悲鳴こそが、
小説の面白さなのである。
20.
小説家、詩人、歌人、俳人。
いずれ功名心の強い業突張りである。
人間の屑のようなやからである。
21.
世の中には、自分が近代人であることに得々としている人がいる。
私は、厭だな、と思う。
が、それを咎(とが)めることは出来ない。
自分も近代人であるから。
せめて私に出来るのは、贋(にせ)世捨人であるかのように生きることだけだ。
22.
地方人はまだ地方にいる時は、田舎者ではない。
東京に出て来て、はじめて「田舎者」にされるのである。
23.
文学とは「火」である。
ドストエフスキー、カフカなどはまさに「火」である。
「火」の中に飛び込んだこともない者が、「火にさわったら、あちちよ。」と言うているのである。
24.
東京を古里にしている人がある。
東京は言う迄(まで)もなく日本の首都である。
併(しか)し私のような田舎者にとっては、植民地に過ぎない。
25.
人の隠された本質は弱肉強食の畜生である。
牛や豚の屍体(したい)を「お肉」と言い換えて、平気で喰(くら)うている畜生以上の畜生である。
26.
いったん文学の魔に魅せられると、先行き何の見込みもなくとも、文学からは離れがたいのが現実であって、そこに文学の恐ろしさもあり、美しさもあるのだった。
27.
「人類の滅亡」を前提に生きなければならないということは、言わば「時間の停止」である。
28.
ほう、あんた地道に働くんが、厭(いや)なんやな。
人にお祝いの会して欲しい人なんやな。
芥川賞が欲しいんやな。
あんたは甲斐性なしの癖に、うまい物喰いたがる。
29.
人の魅力は「生活の破綻」の臭いをさせているかどうかによって決まる。
30.
一体、人生で一度挫(くじ)いて、それを精神的に克服したなどと言える人が、この世にいるのだろうか。
いるとすれば、余程の悟りを啓(ひら)いた人か、余程の阿呆であろう。

31.
他人の評価の中で生きる人生。
厭(いや)だな、と思うても、これからは逃れられない。
32.
人にとって大事なものは過去と虚栄である。
33.
愚か者、悪人の方が、偉人、善人よりも深みがあるのである。
34.
無論、小説を書くことも、広告と同様、騙(だま)しである。
併(しか)し広告の騙しは商品を売り付ける手段であるのに対し、小説の場合は、嘘を書くこと、つまり騙しそのものが目的である。
その意味で、小説を書くという悪事には救いがない。
35.
文学のほか一切を捨てて生きて来た。
無常（死）を感じたら、文学をやる以外に、生きる道はなかったのである。
36.
元を糺(ただ)せば、私たちが所有している言葉は、すべて他人の言葉である。
それをいつしか自分の言葉のように錯覚して、人は生きているのである。
37.
自分が自分であることの不快、これが私が書きたいことだ。
38.
人間性という言葉が、随分よい意味に使われているが、併(しか)し人間性の根幹の一つには卑劣さがふくまれているのではないか。
39.
歓びを知らずに生涯をおえるひとはあっても、苦しみを知らずにその生涯をおえるひとはない。
40.
男と女の間に金が介在すれば、純愛はない。

41.
私は若い頃から多くの女と知り合ったが、いまになって見ると、まぐわいをしないで別れた女がなつかしい。
まぐわいをした上で別れた女は、私のことを怨んでいるであろうから、なつかしくない。
その怨みを、私は藝(げい)のこやしにして来たので、罪悪感があるのだ。
42.
よい風景とは、歴史があって、謂(いわ)れがあって、個人的に強烈な思い出がしみ付いた場所である。
いくら美しい風景でも、歴史や謂れがないところは駄目だ。
43.
言葉で何かを知ることは苦痛なのだ。
知らなければよかった、と思うが、私はどんどん知って行く。
それが私が生きるということだった。
44.
私小説は自己の存在の根源を問うものである。
己の心に立ち迷う生への恐れを問うものである。
そうであるが故に、生への祈りなのである。
45.
四十六歳の夏、私は血族の者から、これだけは書いてはいけない、と哀願されていたことを、小説に書いた。
二十数年のためらいの果てに、私の中の悪の手がなしたのである。
46.
私はどうせ（作家という）蛇になるなら、
毒なし蛇ではなく、毒蛇になろうと思うた。
47.
人間としてこの世に生まれて来たことが、すでにそれだけで重い罪である。
私は言葉でそういう思想を語りたかった。
すると人は「お前の小説を読むと、それだけで自分が人間であることが、つくづく厭(いや)ンなるわ。」と私に背を向けるのだった。
私は厭ンなって欲しかったのである。
全部で、47件
　
　
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以下、ランダム名言コーナー
1.
「進むも地獄、引くも地獄」ならば、最終的に進むしかない。
前進しかない。
（ 高木禮二 ）
2.
ディティールには意味が宿る細部と宿らない細部がある。
（ 大塚英志 ）
3.
愚者が流行を作り、賢者がそれを着る。
（ トーマス・フラー ）
4.
志定まらざれば、機定まらず。
志定まれば、気さかんなり。
（ 孔子・論語 ）
5.
聖人なる者は天地の美に基づきて万物の理に達する
（ 荘子 ）
6.
冒険とは、人の外側で起きることじゃない。
人の内側で起きることだ。
（ デーヴィッド・グレーソン ）
7.
女の友情はクッションである。
それに彼女はピンを挿す。
（ 作者不詳 ）
8.
たまに湧くやる気は、やる気じゃなくて、気まぐれ。
（ 某お寺の掲示板に書かれていた言葉 ）
9.
恋愛もまた完全に行われるためには何よりも時間を持たねばならぬ。
（ 芥川龍之介 ）
10.
「創造的」な人間というのは、
既存の思考枠を、いったん白紙にもどして、
はじめから考えなおしてみることのできる人間のことである。
（ 加藤秀俊 ）
11.
名は求むべからずといえども、また棄つべからず。
（ 佐藤一斎 ）
12.
ああ、作家は、おのれのすがたをむき出しにしてはいけない。
それは作家の敗北である。
（ 太宰治 ）
13.
あらゆる知識は記憶である。
（ ボッブズ ）
14.
其(そ)の罪を憎んで其の人を憎まず。
（ 孔鮒 ）
15.
幸福は人格である。
（ 三木清 ）
16.
生(しょう)あれば食(じき)あり。
世に住むからは何事も案じたるが損なり。
（ 井原西鶴 ）
17.
進歩的な国では変革は不可避である。
（ ベンジャミン・ディズレーリ ）
18.
結婚ということは、本来一種の当てものみたいなものです。
充分調べて、これならいいと思って行ってもうまくいかないこともあれば、不承不承で結婚したのがうまく行く場合もある。
（ 井上靖 ）
19.
生命力のあるものは、生きるために、創造するために、自らの法律を生活するために、あらゆるものをけちらかすものなのだ。
それは防ぎようのないことだ。
（ サン・テグジュペリ ）
20.
一人の日々を深くするものがあるなら、
それは、どれだけ少ない言葉でやってゆけるかで、
どれだけ多くの言葉でではない。
（ 長田弘 ）
21.
恋が狂気でないとしたら、そもそもそれは恋ではない。
（ ペドロ・カルデロン・デ・ラ・バルカ ）
22.
お客様の信頼を裏切るような作品を仕出かしてしまったらどうしよう。
そう思うと気分は暗く重くなり、毎夜、いやな夢ばかり見て「ああ、自分はなんだってまた芝居などというオソロシイものをはじめてしまったのだろう」と、千悔(せんかい)も万悔(ばんかい)も臍(ほぞ)を噬(か)むのです。
そしてあのおそろしい神経性下痢がはじまります。
（ 井上ひさし ）
23.
間違った問題への正しい答えほど始末に負えないものはない。
（ ピーター・ドラッカー ）
24.
愛多き者は則(すなわ)ち法立たず。
（ 韓非子 ）
25.
選ばれた者は、凡人社会の法を無視する権利がある。
（ ドストエフスキー ）
26.
世にたくさんある仕事の全部を体験できるわけじゃないんやで？
（仕事を決めるときは）
インスピレーションを感じて、
自分なりに納得してしもうたら、
あとは一直線じゃ！
（ 漫画『特上カバチ』 ）
27.
運・不運はナイフのようなものだ。
その刃を握るか、柄を握るかで、我々を傷つけたり、我々の役に立ったりする。
（ ジェームズ・ラッセル・ローウェル ）
28.
徹底して考えぬいた末に生まれる「独創性」と最後までやりぬく「粘り」を持つこと。
この両輪なくして、大きな夢を実現させることはできない。
（ 中村修二 ）
29.
勝利の軍というものは、先ず勝つ条件を満たしてから実際に戦い、敗北の軍は先ず戦い始め、それから勝ちを求めるのである。
（ 孫子 ）
30.
魂のみが人の魂を勝ち取るし、心のみが人の心に火を点ずるのである
（ エレン・ケイ ）
【 挑戦する勇気 】
【 失言を防ぐ 】
【 雪が冴える 】
【 酒を飲むしぐさ 】
【 墓の土 】
【 上岡龍太郎の名言 】
【 自分自身に似ない 】
【 行動してみる 】
【 賢さは訓練で身につける 】
【 レオン・ブルムの名言 】
【 ネガティブに捉える 】
【 神への誓い 】
【 経営の進め方 】
【 大人物に会う 】
【 愛は近くにある 】
【 犬の肥満 】
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