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回り道なんてものはないと思う。
その回り道がまっすぐな道だと思えば、 まっすぐな道だと思う道が 本当は回り道ではないだろうか? (標準語訳) 今村昌平[いまむら・しょうへい]
(映画監督・脚本家、1926〜2006) ※表題文(標準語訳)は七瀬音弥による
《 映画監督 》
〈原文〉
回り道なんてもんあらへんと思うわ。 その回り道がまっすぐな道や思えば、 まっすぐな道や思う道が、 ほんまは回り道や違うやろか。 ここでの「まっすぐな道」とは、「近道」のことです。
「まっすぐな道」ならば、最短距離なので、一番早く目的地に着けるだろう、と考えるのは、ごく当たり前の判断です。 だから、よほどの物好きか、あまのじゃくでない限り、普通の人は「まっすぐな道」を選びます。 時々、「まっすぐな道」を選ぶ人を批判する人たちを見かけますが、それは「まっすぐな道」を歩けない者のひがみであり、負け惜しみに過ぎません。 「まっすぐな道」を歩ける人(まっすぐ派)は、迷わず「まっすぐな道」を歩けばいいのです。 ■ところで、日本には「急がば回れ」ということわざがあります。 結構多くの人が誤解しているのですが、これは「急いでいるときこそ、遠回りしなさい」という意味ではありません。 本当の意味は、「危険な近道より、遠回りでも安全確実な道の方が、結果的に早く目的地にたどり着ける(場合がある)」。 つまり「単純に距離だけで道を選ぶ」ことを戒めているだけなのです。 だから、もし早くたどり着ける確信があるのなら、近道(まっすぐな道)を通ってもなんら問題はないのです。 ■さて、問題は、何らかの理由で「まっすぐな道」を歩けなかった人たち、つまり「回り道派」です。 「回り道」をするから、「まっすぐ派」に比べて時間がかかります。 「まっすぐな道」に障害物や猛獣でもいない限り、どう見ても「まっすぐな道」の方が早いに決まっています。 だから、「回り道派」はとても焦ります。 また、いじけて腐ったり、途中であきらめて脱落したりします。 ■とは言うものの、視点を変えてみれば、「回り道」にもいいことがあります。 「回り道」をすることで、「まっすぐな道」では決して体験できない、貴重な経験ができるからです。 「回り道人生」爆走中の私が言うのですから、間違いありません。 ■「回り道」というのは通常、「まっすぐな道」のようにきれいに整備された道ではありません。 だから、決して安全な道ではありません。 舗装されてなく、坂道や断崖絶壁の道も多く、土砂崩れは日常茶飯事、猛獣やハチや山賊も出てきます。 それに耐え切れず脱落する人も多いでしょう。 ■しかし、これらの障害を乗り越えることができれば、その経験は大きな財産になります。 そして、無事目的地に着いたとき、「まっすぐな道」を安全かつ順調に歩いてきた「まっすぐ派」が脅威に感じるほどの、多種多様な経験とスキルを身につけていることでしょう。 もちろん、「まっすぐ派」も早く目的地についた分だけ、その後なんらかの経験を積んでいます。 それでも、人は自分が経験したことのないような「多種多様の経験」を積んだ人を、脅威に感じるものなのです。 ■つまり、「回り道派」は、「回り道した」「回り道をしている」と自らを卑下する必要はないのです。 回り道をした分だけ、ちゃんと経験は積んでいるからです。 それも、「まっすぐ派」は決して持つことができない貴重な経験を。 ■そもそも、一見すると歩きやすそうな「まっすぐな道」が、必ずしも自分にとって歩きやすい道とは限りません。 中には「回り道」の方が合っている人だっているのです。 自分に合わない道を歩けば、なかなか目的地にたどり着けません。 伸びるはずの能力も伸びません。 「まっすぐな道」を選んでしまったがために成功できない人も、もしかしたらいるかもしれません。 ■結局、「まっすぐな道」「回り道」というのは、主観の問題に過ぎないのかもしれません。 一方を「まっすぐ」だと思うから、もう一方を「回り道」だと思ってしまう。 「まっすぐ」とか「曲がってる」と思うのは、ただの錯覚かもしれないのです。 自分は「まっすぐな道」を歩いていると思ったら、実は「回り道」をしていたり、「回り道」をしていると思ったら、実は「まっすぐな道」を歩いているということはよくあることです。 ■こう考えていくと、「まっすぐな道」「回り道」と考えること自体が、実は無意味であることに気づくでしょう。 大事なのは、どの「道」を選んでも、一生懸命頑張るしかないということなのです。 そして、たとえそれがどんな「曲がりくねった道」であろうと、必ず得るものがある。 それを上手く活用し、成功につなげることができるかどうかは、すべて自分次第なのです。
(七瀬音弥:ななせおとや)
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( アニメ『されど罪人は竜と躍る』 )
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( 岸風三楼 )
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