人間は現実よりも、その現実にからまる空想のために悩まされているものだ。
空想は限りなくひろがるけれども、しかし、現実は案外たやすく処理できる小さい問題に過ぎないのだ。 太宰治[だざい・おさむ]
(明治〜昭和の作家、1909〜1948) 『春の枯葉』 奥田のセリフ 【 太宰治の名言 】
《 悩み・苦悩の名言 》
〈全文〉
野中先生のおっしゃるには、 この世の中にいかにおびただしく裏切りが行われているか、おそらくは想像を絶するものだ、 いかに近い肉親でも友人でも、かげでは必ず裏切って悪口や何かを言っているものだ、 人間がもし自分の周囲に絶えず行われている自分に対する裏切りの実相を一つ残らず全部知ったならば、その人間は発狂するだろう、 という事でした。 __ Link __ しかし僕はそれに反対して、 人間は現実よりも、その現実にからまる空想のために悩まされているものだ。 空想は限りなくひろがるけれども、しかし、現実は案外たやすく処理できる小さい問題に過ぎないのだ。 __ Link __ この世の中は、決して美しいところではないけれども、しかし、そんな無限に醜悪なところではない。 おそろしいのは、空想の世界だ、 __ Link __ とまあ言ったのですが、どうも、野中先生の空想には困ります。
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