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この世からいちばん遠い場所が、
ほんとうは、この世に、
いちばん近い場所だ

[ 出典 ]
長田弘[おさだ・ひろし]
(詩人、1939〜2015)
『長田弘全詩集』
詩「花を持って、会いにゆく」

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〈全文〉
春の日に、あなたに会いにゆく。
あなたは、なくなった人である。
どこにもいない人である。

どこにもいない人に会いにゆく。
きれいな水と、
きれいな花を、手に持って。

どこにもいない?
違うと、なくなった人は言う。
どこにもいないのではない。

どこにもゆかないのだ。
いつも、ここにいる。
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歩くことは、しなくなった。

歩くことをやめて、
はじめて知ったことがある。
歩くことは、ここではないどこかへ、

遠いどこかへ、遠くへ、遠くへ、
どんどんゆくことだと、そう思っていた。
そうではないということに気づいたのは、

死んでからだった。もう、
どこへもゆかないし、
どんな遠くへゆくこともない。

そう知ったときに、
じぶんの、いま、いる、
ここが、じぶんのゆきついた、

いちばん遠い場所であることに気づいた。
この世からいちばん遠い場所が、
ほんとうは、この世に、

いちばん近い場所だということに。
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生きるとは、年をとるということだ。
死んだら、年をとらないのだ。
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十歳で死んだ
人生で最初の友人は、
いまでも十歳のままだ。

病いに苦しんで
なくなった母は、
死んで、また元気になった。

死ではなく、その人が
じぶんのなかにのこしていった
たしかな記憶を、私は信じる。

ことばって、何だと思う?
けっしてことばにできない思いが、
ここにあると指さすのが、ことばだ。
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話すこともなかった人とだって、
語らうことができると知ったのも、
死んでからだった。

春の木々の
枝々が競いあって、
霞む空をつかもうとしている。

春の日に、あなたに会いにゆく。
きれいな水と、
きれいな花を、手に持って。


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