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[ 名言 ]
(怠けものを)海の動物にたとえれば、なまこであろうか。
なまこは、たまらない。
いやらしい。
ひとで、であろうか。
べっとり岩にへばりついて、ときどき、そろっと指を動かして、そうして、ひとでは何も考えていない。

[ 出典 ]
太宰治[だざい・おさむ]
(明治〜昭和の作家、1909〜1948)
『懶惰の歌留多』

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〈全文〉
怠けものは、陸の動物にたとえれば、まず、歳とった病犬であろう。
なりもふりもかまわず、四足をなげ出し、うす赤い腹をひくひく動かしながら、日向(ひなた)に一日じっとしている。
ひとがその傍を通っても、吠えるどころか、薄目をあけて、うっとり見送り、また眼をつぶる。
みっともないものである。
きたならしい。

海の動物にたとえれば、なまこであろうか。
なまこは、たまらない。
いやらしい。
ひとで、であろうか。
べっとり岩にへばりついて、ときどき、そろっと指を動かして、そうして、ひとでは何も考えていない。


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